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―+memori.1+―
ただ、空を見てた。どこまでも続く真っ青なキャンパスに、ふんわりと浮かぶ白いかたまりを見つめて、窓から吹く風になびく髪を、そっとおさえる。
遠くから聞こえるピアノの旋律に耳を傾けながら、真っ白なノートとにらめっこをする。毎日がそんなことの繰り返しだった。
そんな毎日を変えてくれたのは、君だったね――。
―+diary.01+―
「もう、葉桜の季節になったんだ……。あっという間だなぁ」
力強く枝葉を広げる桜の木を見上げて、私はため息混じりの声を洩らす。
季節は初夏。
思えば仲の良い友達もできなかったし、小学校を卒業してから引っ越してきたから入学式の時に知り合いなんていなかったいなかった。
(あれから一年が経って、今ではもう二年生になったけど、やっぱり友達なんてできなかったな……)
結局、いつも一人で窓から見える景色を眺めて、頬杖をつきながら寂しさを味わうだけで……。
せめて親友の一人でもいればよかったのに、なんて自分を恨みながら、放課後を告げるチャイムを受けて、鞄を手に、一人図書室へ向かうことにした――。