中編
僕は橙色の空の下、自転車を漕ぐ。君を乗せて。
あまりにも夕日が情緒を掻き立てるから。
わざわざ遠回りして、河川敷にまで来てシチュエーションも整えた。
だから、今こそ僕は言おう。
「ねぇ。僕が未来から来たって言ったら信じる?」
「えぇ。私たちの子どもの名前を教えてくれるなら。」
「なんだって!?」
聞いてないよ!?未来の自分!?
「私たちの間には何人子どもがいるのかしら、パパ。」
「パパとは呼ばせない!!すいませんでした!!」
彼女は、お腹をさすりながら、言い返す。
「いいのよ別に。慌てずとも未来は、決まっているのだから。」
「あ、そこの公園に寄っていこ?」
僕は、話を強引に逸らす。
「えぇ。わたぬきと一緒なら、何処でもいいわ。」
ちょっとした恐怖を感じながら、僕は公園を目指す。
◇
公園で、僕と彼女は歳に似合わず、ブランコに乗り、語る。
今朝の担任の寝癖がどうとか。隣の席の女の子がどうとか。
周りにくだらないって言われてもおかしくない話。
だけど、二人には大事な時間。楽しい時を刻んで、
やがて、赤く熱い陽は沈み、白く甘い月が二人を照らす。
彼女は、ふっとブランコから降りて一周くるりと回って言を伝える。
「月が、綺麗ですね。」
月に照らされた少女は、雪を連想させて油断すれば消えてしまいそうで、
だから、僕はただただ肯定しかできなくて、
それを見た彼女はくすりと笑って、
「貴方を愛してるって、言ったのよ。」
僕は、それに何て答えればいいのか分からなくて言葉を探すけれど、見つからない。
思いつくままに僕は答える。
「僕と、結婚したいの?」
彼女は嬉しそうで、少し悲しそうで、
「それはまだ後回し。まずは私と、付き合ってください。」
彼女が悲しそうな顔をするというのに、僕は彼女の側に居てもいいのだろうか。
「僕は、ちぃちゃんと一緒に居たい。ちぃちゃんの横に居てもいいのかな。」
「貴方さえ、よければ。」
「僕で、よければ、喜んで。」
彼女を悲しませたとしても。僕は、君の隣に居たい。
月に照らされた下、君を抱きしめて、初めて沸いた感情は
僕には醜くも美しいモノに思えたが、これを僕にはまだ言葉に出来ない。
世界が、僕に甘く冷たく祝福をくれる。
少し、文学というかポエムっぽいイメージを与えたいのですが、非常に難しいですね・・・。




