View 仲間の戦い
「上宮君、お疲れ様〜。凄いね、荻原先輩に1本決めるなんて〜」
宮端の言葉に、また苦笑を浮かべる。
「先輩とは、何度も組み手してるから。技も結構知ってるよ。……それでも、全然勝てないけどな」
「いやいや、十分だって。見事な中段突きだったよ、上宮」
「そうそう、俺だったら最初の攻撃でダウン」
私を人身御供にした中井と裄原に、にっこり笑いかける。
「2人とも、まず言うことはそれか?」
「「……ありがとうございました」」
よろしい。
何だか引きつった表情の2人を放置して、先輩方の奮闘(乃木と牧畑、女子はさっくり負けちゃったみたい。牧畑は良いとして、乃木……)を見学する。
2年の先輩は勿論、今年最後の試合に臨む3年の先輩は、技術も早さも、熱意も違う。荻原先輩相手に、細い女子が思いっきり飛び込んでいくところを見た時には、思わず心からの応援を叫びそうになった。
大変ですよね、きついですよね、頑張って下さい!ちょっと違う立場になりましたけど、応援してます!
「……上宮、女子を見たい気持ちは分からなくはないけど、男子を見ろよ」
「見てるよ。単に、荻原先輩に挑戦しようとするその勇気に感心していただけだ」
仲井の誤解を叩き潰して(ホント、失礼な)、市原先輩に視線を移す。市原先輩は、その身長の高さを生かして、間合いを広く取るスタイル。ちびには酷なスタイルだ。今挑戦している男子3年、荘原先輩は背が低い方だから、戦い方は凄く参考になる。
実戦の経験を付けるにも、戦い方を学ぶにも、本当にレベルの高い部だと思う。
先輩に相手をしてもらったり、先輩を食い入るように見つめたりして、気がついたら部活終了。
「これで今日の練習を終わります。礼!」
『ありがとうございました』
良かった、これで試合があったら、明日歩けない。