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Teammates 空手部1年

部活勧誘も終わったので、涁の仲間を紹介します。

こんなに部員いるの、羨ましい……


女子部員の名前にルビ振っていないことに気付き、訂正しました。

 道場について、急いで着替える。今日は、練習がとうに始まっているから、急ぐのは当たり前。

 着替えている途中に、今年入った他の空手部1年も入って来た。



「あ、上宮と仲井。歌練お疲れ」

「お疲れ、牧畑。……歌練とは、面白い言い方だな」

「そう?普通に略しただけだよ」



 牧畑廉谷(まきはたれんや)。空手は高校から。「鍛えたい」から始めた、らしい。他にもいろいろあるだろうに……

 つり長の茶色い目が特徴の、茶髪茶目。不良と間違えられがちだけど、地毛だとか。性格は温厚だ。



「練習と言うより訓練だろ。歌訓、とか?」

「それ、なんか意味が違わないか?」



 仲井が突っ込んだのが、乃木(のき)真次(まさつぐ)。中学でやめる気だったけど、瓦割りに憧れたとか。今はしないと知ってやめようと考えるも、荻原先輩が一度手に入れた獲物を逃がすはずもなく。まあ、楽しんでいるみたいだけどね。

 仲井と勝負して、負けたからって坊主刈りにしてきた、楽しい奴だ。



「まあ、あと6日で終わらせられるよう、頑張らないとな」



 裄原潤葵(ゆきはらじゅんき)。小学校からの経験者。北条先輩の後輩だそうで、かなり強い。まだ直接戦ったことないけど、組み手の練習で2年の先輩と張り合ってるから凄い。

 つんつん頭だけど、垂れ目って言う、癒やし系な存在。男子に癒やしを喜ぶ人はいないみたいだけど……


 仲井、牧畑、乃木、裄原、そして私。これが今年の男子(?)空手部1年。揃った所で、大急ぎで道場へと向かう。



「あ、上宮君、牧畑君、仲井君、乃木君、裄原君。歌練お疲れ〜」

 道場の端では、今年の女子1年がストレッチしていた。着替えるの早っ……

「お疲れ、館花、小東、大岐。早いな、3人とも」

「そう?私達のいる教室の方が、道場に近いからかな」



 館花たちばな絢奈あやなが、小さく首を傾げた。真っ黒な目と髪、典型的な和顔。時々、随分大人びた表情をする。



「乃木君が着替えるの遅かったんでしょ」

「勝手な事言うなよ、小東。俺は別に、着替えるの遅くなんか無いからな」



 小東ことう紗那さやは、乃木と中学が同じで、通っていた空手道場も同じだったらしい。深い茶色の髪を、男子並みに短くしている。



「ま、何にせよ、ストレッチしようよ。練習、見てると何か大変そうだし」



 透き通るような肌の色が特徴の大岐おおき奈菜子ななこが、2人を宥めるように言った。女子のまとめ役は、彼女だ。



 大岐の言葉に練習の様子を視界に入れると、確かに、昨日までよりしんどそうだ。

「……何か嫌な予感がする……」

「おいよせ上宮、お前が言うと洒落にならん」

 仲井が顔を引きつらせた。ごめん、こういうときの予感って、当たるんだよね……



「ああ、5人ともお疲れ様〜。ちゃんとストレッチしてから入ってね」



 マネージャの宮端(いえはた)梨磨(りま)。ほわほわした子だけど、てきぱき仕事をしてくれるし、こうやって気遣ってくれる。一年生なのに、既に欠かせないマネージャ。2,3年のマネージャ(1人ずついる)も、何だか嬉しそう。

 栗色の髪がくるくるパーマ、目も茶色。でも一度も先生に疑われたことのないという、奇特な子。きっと、中学でもちょこちょこと動き回って働いて、気に入られていたのだろう。



「ああ、ありがとう、宮端。そうするよ」

 代表して答えると、ほわーっと笑って、ストレッチのお手伝いをしてくれた。



「痛たたっ!宮端、もうちょい優しく!!」

「え〜、乃木君、堅すぎだよう。ほら、もう少し」

「いやもう無理……痛い痛い痛いです!!」



 ……という風に、ストレッチ不足の奴をしっかりサポートしてくれる。本当に優秀だ。



「上宮、他人事って顔だな。良いなあ、柔らかいと……」

「どうやって柔らかくなったか、教えようか?」

「……あー、お疲れ様?」

 やや引きつった顔で、4人が引き下がった。視線の先には、荻原先輩。私まだ、何も言ってないよ?正解だけど。



 きっちりとストレッチを終え(4人とも、宮端に押されて涙目)、練習に入る。既に基礎練は終わっていて、打ち込みの基礎の最中だった。



 途中からだけど入って練習した後——



「じゃ、今日は元立ちで。私と北条君と……、市原いちはら先輩、頼んで良いですか?」

「ああ、いいよ」



 元立ちって言うのは、実力者に1人ずつ順番に挑んでいく、実戦形式の練習。大体3本(つまり、どっちかが3回技を決める)で交代。相手の実力に合わせて、実力者は指導をかねて挑戦を受ける。ローテーションで、多分30分近くはやるんじゃないだろうか。 



 …………ついに、この時が来たか。



 遠くを見やりながら、荻原先輩の列に並ぶ。後回しになんかしたら、命がいくつあっても足りない。



「じゃ、始め!」

 荻原先輩の合図を皮切りに、まず2年生が一斉に挑んでいった。

涁たちの運命や、いかに

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