Team 運動部活動紹介
『ただいまより、部活動紹介を行います。先程配ったプリントの順番に従って進みますので、参考にして下さい』
相沢先輩のアナウンスが終わると同時に、ユニフォームを着た男子が大勢ステージに飛び込んで来た。
「こんにちはー!サッカー部です!俺達サッカー部は、部員20名、マネージャ3名で活動しています。普段は―」
やたらとテンションの高い部長さんが、サッカー部の魅力について語っていく。
「―では、ここでちょっとデモンストレーションを」
そう言って部長さんは、部員さんからサッカーボールを受け取って、その場でボールを操り始めた。凄く上手。
「……あれだけで食っていけそうだよなあ」
「……えーと、サーカスってことか?」
飯島が話しかけて来たので、小声で聞き返す。
「そうそう。曲芸のレベルだろ、あれ」
「確かに見事だよな」
さっきから一度も落としていない。どうやっているのか、目も向けずに後ろ足でボールを受け取ったり、それを蹴り上げ一回転して膝で受け止めたり。後2、3個目が付いているんじゃないだろうかと思ってしまう。
最後に華麗な技を決めてボールを足で抑えた部長さんが、マイク無しで叫んだ。
「是非一度、見学に来てみて下さい!ありがとうございました!」
時計を見る。今の紹介で、3分。清条高校の部活は50個位あったはずだから……3時間?
……ちょっとげんなりしたのはここだけの話だ。
袴を来た男子2人、女子1人がステージに上がった。
「こんにちは、弓道部です」
「うわ、兄貴だ……」
飯島が呻く。ステージでマイクを握る少年を見て、納得する。
「似てるねー」
美樹も同じ事を思ったらしい、感心したような口調でそう言った。飯島が顔を顰める。
「僕たち弓道部は、去年の大会でインターハイに出場しました」
「弓道は、武道です。礼儀を重んじ、心を磨く場です」
「毎年興味本位で来る人はいますが、弓道は皆さんが思うような簡単なものではありません。やる気のない者は来ないで下さい。以上」
飯島のお兄さんに続いてもう1人の男子、女子と言葉を重ねて、3人はステージを出て行った。講堂に沈黙が訪れる。
「……怖いね」
安藤の呟きに、私、飯島、澪が無言で頷いた。
「えー?楽しそう。何か、ますます入りたくなっちゃった」
美樹……。いや、いいけどね。
「……まあ頑張れよ、松井。1月持ったら誉めてやる」
「言ったねー」
飯島の言葉に、美樹が目をキラキラさせてのる。何だか、もう入ると決めたようだ。
「こんにちは、空手部です」
道着姿の少年のその言葉に思わず反応してしまった自分に気が付いて、思わず苦笑した。やめるって、決めたのに……
「空手部は、初心者、経験者問わず、監督の先生を始めとして、先輩達が一丸となって指導を行っていきます。去年私達は、県大会で総合2位という成績を収め、今年こそインターハイに出場しようと毎日切磋琢磨し合っています。興味のある人は、是非見学に来て下さい」
「だってよー、涁君」
「こりゃ、相当熱心なスカウトが来そうだなあ」
「他人事だと思って……」
愚痴が漏れたが、内心は飯島に同意している。口では何と言っていようと、インハイ目指しているなら、即戦力は欲しいんだろうな……
ステージ上では、空手部部長の男子生徒が型をやっていた。昇段審査の時に行う型だ。動きに無駄が無く、流れもいい。よく練習しているのが一目で分かった。
「……上手いな。あれなら、大会でも好成績を収められる」
思わず呟くと、安藤が声を掛けて来た。
「なんだかんだ言って、興味はあるんだね」
「……まあな」
曖昧に答えて、部長が型を終えるのを見つめていた。