「反逆の火種」
「反逆の火種」
鉱山の奥――振り下ろされた剣が空中で止まった。
無口な男、ロガンがそれを受け止め、無眼の男、アロスが少女を抱き上げる。
「大丈夫か?」
アロスが優しく声をかけた。
ロガンは剣を握りしめる。
「危険だ。これは捨てよう。」
二人は同時に動き出した。ロガンは牢の錠を打ち砕き、奴隷たちを解放する。
アロスは少女を父親のもとへと返し、脱出路へ走った。
警備兵が道を塞ぐ。囚人たちは混乱し、恐怖の声が響く。
「さっさと片付けよう。」
「片付ける? いやいや……まだ準備運動の途中だ。」
アロスが不敵に笑う。
ロガンがため息をついた。
「はぁ……しょうがない。だがやり過ぎるなよ。」
アロスが瞬時に動き、警備兵の武器を弾き飛ばす。
ロガンは人々を率いて出口へと走った。
そのとき、アロスが立ち止まる。
「……でかいな。」
闇の中から巨大な怪物が現れ、鉄の棒を振り下ろした。
それはアロスの頭に直撃したが、金属の棒が曲がるだけで、彼は微動だにしない。
人々が息をのむ。
「人間じゃないな……その通りだ。」
アロスは首を鳴らし、拳を振るった。
怪物は腹に直撃を受け、岩壁を突き破って吹き飛んだ。
頭上から炎の塊が降り注いだ。
飛行兵ルグが火炎放射器を構え、アロスを炎に包む。群衆が勝利の歓声を上げた。
次の瞬間、司令官ジュグがトラックめがけてミサイルを撃つ。
「ダメだ――!」
ロガンが人々を車に押し込みながら叫ぶ。
次の瞬間、ロガンの手刀が風を裂き、爆炎を二つに割った。
熱が広がり、彼らの偽装は剥がれ落ち、真の姿が露わになる。
炎の中から、口のない男が姿を現した。
「髪が少し焦げたな……。」
そして、目のない男が炎の中に立つ。
「今、俺を焼こうとしたな……?」
警備兵も囚人たちも息を呑む。
――伝説の「V兄弟」だ。
彼らは神々に育てられた存在であり、その力は宇宙竜に匹敵すると言われている。
ロガンの姿が消える。次の瞬間、司令官の背後に現れた。
閃光。兵士たちの武器が音もなく真っ二つに割れる。
同時に、アロスは武術の技を駆使し、敵を次々と叩き伏せていく。
そして、退屈そうに舌打ちした。
「チッ……弱いな。」
鉱山のさらに奥――
玉座のような岩に、異形の怪物が座していた。
その姿は半人半獣。額の角は紅蓮に輝き、灼熱の光を放っている。
「本当の戦いは、ここからだな?」
アロスが笑う。
「生まれつき、戦う準備はできてる。」
ロガンが応える。
第3話「審判の角笛」へ続く。
作者のあとがき
ここまで読んでいただき、ありがとうございます!
この章では、ついに反逆の炎が燃え上がり、ロガンとアロスの真の力が明らかになりました。
あなたの応援が、この物語の世界を生かす力になります。
――クリームサン




