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赤い侯爵と白い花嫁  作者: 杉野みそら
第十二章 二人の世界

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アリアと薔薇の花

アリアの声に正気に戻ったカリスは後悔する。しかしアリアは……


※カリス視点です。



 胸の奥に、冷たい恐怖が広がっていく。

 このままでは、俺までリディアのようになってしまう。

 アリアを好きだとか言いながら、次の瞬間にはアリアの自由を奪おうとしてしまう。


 アリアは俺と結婚するまで外からの交流もなく、ほとんど軟禁されていたようなものなのに。


【……家では、せいぜい中庭を散歩することしかできなくて……】


【あの、今のは内緒にしてください。母に知られたら怒られてしまう……】


 ーー俺と結婚する事で、やっと自由になれたのに。


「……ッ、ごめんアリア、今の忘れて」


「いえ、カリス様……」


 アリアの声が、そっと風に溶けた。

 ーー沈黙の中、白薔薇の花弁が一枚、足元に落ちる。

 その儚さがアリアのようで、俺は胸を締めつけられた。


「カリス様……実は私も……前からずっと言っておきたい事があったんです」


「え……」


 アリアは慌てて離れようとした俺を今度は引き寄せた。まるで今まで俺がアリアにしていたように。


「……カリス様、私はカリス様がいいのです。……奇妙だとお思いになるでしょうけれど、時々……どうしようもなく……私は……」


(私も、支配されたいです)


 アリアの顔が、吐息がかかるほどに近づく。


「……私も、カリス様に支配されたいのです……これは、おかしい事なのでしょ」


 俺はたまらなくなってアリアの言葉が終わる前に口付けをした。


 熱でも確かめるように、彼女の頬を両手で包み込む。


 そうか、俺がアリアを支配したいように。


 アリアも俺にーー支配されたいのか……


 自分でも驚くほど納得のいく答えだった気がする。 

 そうか、俺たちは二人が二人ともーー


「……アリア、ありがとう」


 突然の口付けで顔を真っ赤にしたアリアが不思議そうに俺を見上げる。


「俺の事を受け入れてくれて……」


 アリアは俺のこの黒い感情も、とっくに逃げずに何もかもを受け止めてくれていたのだ。

 それに気付かないで、俺はずっと罪悪感を抱いていた。


 先程まで俺の心に巣食っていた黒い霧はもはや晴れて、穏やかな気持ちが戻ってきていた。


「はい……カリス様……」


 腕の中でアリアは微笑む。逃げたり、怯えたりせずに……


 ああ、もう大丈夫だ。

 アリアは俺の腕から離れない。


 ーー誰にも渡すものか。


 リディアにも、ランスにも。


アリアは白薔薇、リディアは赤い薔薇って勝手に思っています。だから何やねんて感じですが。こういう区分好きなんです私。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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