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赤い侯爵と白い花嫁  作者: 杉野みそら
第十二章 二人の世界

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カリスと薔薇の花

※ただ二人がイチャイチャしてるだけのお話です。 二人とも少しおかしいです。



「ねぇアリア」


 俺は並んでいる白い薔薇から一番見事に咲いている花を選ぶ。


「えっ……」


「アリア、時々俺は自分が怖くなる」


 リディアのことは言えない。 


 なぜなら俺も、アリアのことになると周りが見えなくなる。

 リディアが俺の事で心を乱し、周りが見えなくなってしまったように。


 俺はアリアの体を抱きしめたまま、白薔薇の花弁で、ゆっくりとアリアの肌を撫でる。


「……ッ//カリス様っ」


「……君を守りたいのに、時々君を……」


 薔薇の花弁がゆっくりと、その滑らかな鎖骨を滑る。

 アリアが息を呑むのがわかる。その心臓の鼓動さえ伝わってきそうだ。


(君を、めちゃくちゃにしたくなる時がある)


「君のその髪とその瞳と笑顔と体、心さえ。閉じ込めてしまいたくなる」


「カリス様……」


「ねぇアリア、君はどうしてただ漫然と俺の言うことだけを聞いてるの?逃げもせずに」


 まるで俺に何かされてもいいみたいな態度で、アリアは大人しく俺のやりたいようにさせてくれる。


 ……なぜ?


 俺はアリアの可愛いらしい唇に薔薇を這わせたままで問う。


 アリアの唇は震えていた。可哀想に……


「……ねえ、どうして?」


 違う、こんなことが言いたいんじゃない。ただ愛の言葉を紡げばいいのにーー

 これではまるでリディアと同じだ。反論できないアリアを追い詰めて、泣かせて、倒れるまで。


「……閉じ込めたい……クソッ」


「あ、あのッ……」


 ハッ……


 アリアの声に急に現実に引き戻される。さっきから何をやってるんだ俺は……

 アリアを守りたかったはずなのに、これではーー


 俺は手の中の薔薇を見下ろした。


 白かった花弁に、自分の指先から落ちた血が滲んでいる。

 茎の棘で傷つけたのだと気づくのに、少し時間がかかった。


別名「ただカリス様に薔薇の花弁を使ってアリアの体に這わせてみたかっただけのお話」


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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