アリアの特技
この話は別に読んでも読まなくてもいいかな汗
お暇な時にどうぞ。アリアが体も強くなってきたという話。
アリアが一歩、俺の腕の中へと入ってくる。
その動きは驚くほど静かで、それでいて確かな意志を持っていた。
音楽が再び流れ出す。弦の調べがゆるやかに高まり、彼女のドレスが光をすくい上げる。
ーー美しい。
言葉が出ない。
白銀の裾がふわりと宙を撫で、アリアの細い腰がその中心で静かに回る。
ひとつ、またひとつとステップを踏むたび、ドレスの薄布が波のように揺れ、月明かりがその波間を滑っていく。
アリアの髪が肩から滑り落ちた。その髪が銀糸のように舞うたびに、そのひとすじが俺の胸をかすめていく。
香りがした。
白薔薇と紅茶、そしてほんの少しの甘い花蜜の香り。
アリアの類は少し上気して、瞳には星のような光が宿っていた。
その瞳が一瞬だけ俺を見上げたとき、鼓動が跳ね上がった。
(さっきも思ったけどアリアはこんなにも……色っぽかったっけ?)
上気したような頬に、長いまつ毛が伏せられて、白い瞳が瞬きをするたびに揺れる。半開きの桃色の唇がいつもよりずっと……
俺はそこでハッと気づく。
そうか……カロンの食事のおかげか?
アリアが最近ずっと顔色が良いのは……
肉感的になったのも、そのおかげ……って、何を考えているのだ。俺は!
(それはいいことだが、俺は……)
俺はまた黒い思いに心が支配されそうになっていることに気づく。
アリアは踊りが唯一得意だと言っていたな……
この見事な踊りを、俺が見ていたのと同じ景色を誰かも見ていたのか?
くるくると回転して俺の胸に戻ってくるアリアの細い腰を抱き、俺に近づける。
「ッ!」
俺のいきなりの行動に、アリアの体が跳ねる。
「……アリア、だめだよ。そんな笑顔で幸せそうに踊っては」
「えっ……?」
俺は自嘲の笑みを浮かべる。ここには俺とアリア以外誰もいないのに……
アリアの笑顔で踊る姿を一人占めしたいだなんて。
ーーおかしな話だ。
むっつりカリス笑
ここまでお読みいただきありがとうございました。




