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赤い侯爵と白い花嫁〜愛を知らない二人が描く、歪な愛の物語  作者: 杉野みそら
第十二章 二人の世界

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私をもっと褒めてください

カリスの提案で、二人だけの舞踏会を開催したアリアとカリス。アリアはそこで意外な特技を披露する。


※前半カリス視点。

*印以降はアリア視点です。

 真っ直ぐに顔を見つめて言われ、顔が熱くなる。


(変なの、私。ドキドキしてる……カリス様がいつもと違って特別かっこいいからかな)


「おいで、舞踏会のやり直しをしよう。二人だけの……」


「……二人だけの……」


 音楽がどこからともなく静かに流れ始める。白薔薇の花弁がその音色に合わせるように風に揺れた。


「俺と踊ってくれますか?」


「はい、喜んで//カリス様」


 指先が触れ合う。

 世界の音が二人だけのものになるのに時間はかからなかった。


「ふふ、アリアは踊りが上手だね」


 カリス様が踊りながら耳元で囁く。


「私、ダンスだけは得意だったんです……//母にもこれだけは文句を言われませんでした」


「ああ、本当に上手だ。こんなに華奢なの……に、」


「……カリス様?」


「いや、なんでもないよ。その……」


 アリアが俺の中に回転しながら入ってくるたびに感じるしなやかな弾力は……


(……おかしいな、アリアはこんなにも……なんか、いやいや何を考えてるんだ俺は!)


「カリス様……?」


「いや、何でもないよ」


 カリスは咳払いをして誤魔化した。


 * * *


 カリス様、先程からずっと黙っているけどどうしたのかしら?


「カリス様、私カリス様に感謝しています」


「感謝?」


「リディア様と対峙した時……私、今までは震えて何もできなかった、反抗できなかったのに……」


【カリス様はそんな人じゃありません。ちゃんとぬくもりがあって、優しい人です!】


 あの時の私は、カリス様を思って声を出せた!


【黙って頷いていれば、大抵のことはうまくいくのよ】


母の言葉に縛られ、これまでずっと頷いていればよかっただけの日々を過ごしていた。でもあの時、初めて母の言葉に逆らって自分の意思で……


「私はあの時初めて母の言葉に逆らうことができたんです」


 カリス様が目を瞬く。


「呪いの終わりです。カリス様が解放してくれたんです……ありがとう、カリス様……」


「……そうだったんだね。あのリディアに……」


(あの時は影でよく見えなかったが……そうか、アリアは)


「偉いな、アリア。よく頑張ったね……」


 あ……カリス様、褒めてくれた。


 私はカリス様に褒められたくて……ずっと。

 カリス様、私をもっと褒めてください。

 もっともっと、カリス様で私をいっぱいにして欲しい。

 母の呪いから解放されて、あなたの檻が、何よりも心地良いことに気がついたのです。


 カリス様、もっと褒めて。


 カリス様の用意した見えない鎖で、真綿の縄で、もっと私を縛りつけて……


アリアちゃんもだいぶ拗らせてます。

でも二人が幸せならそれでいいと思うんだ。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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