表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
赤い侯爵と白い花嫁  作者: 杉野みそら
第十一章 邂逅と再開

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

90/127

あなたの顔も、私の心も

リディアの落とした小瓶には、硫酸が入っていた。カリスは二度とリディアと二人で会わないようにとアリアに懇願する。


※前半部分はカリス視点

 ……もう何があっても、リディアとアリアを二人だけにするわけにはいかない。


「……アリア……何でもないんだよ。だけど二度とリディアと二人では会わないと誓ってくれ。そうじゃないと、俺は……」


 でないと俺は、今すぐにでもリディアを追って……この小瓶をリディアに……


 考えて小瓶を握る指が震える。


 俺の切羽詰まった様子を見てアリアが息を呑むのがわかった。


「……わかりました。もう聞きたいことは聞けたので、リディア様と二人では会いません」


 《私からカリス様を奪ったでしょう!?》


 《どうしてあなたばかりが愛されるの?いつもいつも……》


 リディア様……とても強い言葉だったのに、なんだかとても苦しそうだった。


 まるで、壊れてしまいそうで……憐れで。


「……カリス様、その小瓶の中身は」


「何でもない」


 俺はその小瓶を慌てて湖に捨てた。ポチャンという音を立てて、やがて小瓶は静かに沈んで行った。


「……何でもない。ただひどく、恐ろしいものだ」


 果たしてリディアはこれを本当にアリアに使う気だったのだろうか。


 それとも……


 * * *


 数刻前ーーリディアの部屋。


 リディアの指先が震えていた。

 小瓶の中で液体が揺れる。

 

 透明で、ただの水のように見えるのにーーそこには確かな殺意があった。


「これで……終わりにできるのよ。あなたの顔も、私の心も……焼けてなくなればいい」


 リディアの瞳に映るのは、涙とも狂気ともつかない光。

 月明かりが瓶の中で反射し、銀の閃光がリディアの頬を照らした。


 果たしてリディアは何を目的に小瓶を持っていたのか。アリアの顔にかけ、その美しさを壊してしまいたかったのか、それとも何もかもを壊してしまいたかったのか……


リディアは実際にアリアに使用する気はなかったんじゃないかな。いやわからないけど……


最後まで読んで頂きありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ