リディアの落とし物
リディアの前にカリスが立ちはだかり、アリアは何とか対峙を終えた。しかしアリアはリディアが何かを落とした事に気付く。
※カリス視点です。
「ひとまず帰ろう。アリア……歩けるか?」
「リディア様……あっ」
アリアはリディアの持っていた銀の小瓶が足元に転がっているのを見つけた。
「これは……一体何かしら?カリス様が現れるまえにリディア様がこの小瓶を私に向けて何かしようとしていたの」
「何だと?……アリア、ちょっと見せて。何か入っているな」
小瓶を少し振るうと中からチャポチャポと音がする。
「中に入っているのは何でしょう?香水でしょうか?」
またアリアがおかしな勘違いをしている。これが香水なわけがない。
俺は近づこうと顔を寄せるアリアを制した。
「……いや、これは……」
小瓶の中身は硫酸だった。リディアはこれで何をしようとした?
俺はゾッとした。まさか、リディアはこれをアリアに使おうとしたのか?
「カリス様……」
アリアが心配そうに俺を覗き込む。
アリアのこの美しい白い肌が焼け、アリアが苦痛で叫ぶ姿を想像するだに恐ろしい!
……もう何があっても、リディアとアリアを二人だけにするわけにはいかない。
(リディアはこれを、アリアに使おうとしたのか?いや、そうに違いない。そしてアリアが苦痛に悶える様を……)
正直今のリディアならありえる。
今の、理性を失ったリディアなら。
いや、まさかアリアの美しさに嫉妬したからってそこまでしないでしょ……汗
まさかね。
最後まで読んで頂きありがとうございました。




