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赤い侯爵と白い花嫁  作者: 杉野みそら
第十一章 邂逅と再開

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呪いの終わり

湖畔で対峙したアリアとリディア。アリアはカリスへの想いをきちんと自分の意思で告げる。リディアの前にはもう昔の虚弱で暗かったアリアはいない。


※アリア視点です。

 この子、前に会った時とは違う?すぐに倒れて被害者ぶっていたけど。今日のアリアからはそんな印象を受けないわ。


 静かでも、確かで強い意思を感じる……


 あの儚げで虚弱で暗くて、学校でもいつも一人でいたアリアが!?


 ーー心臓が高鳴り、息が詰まった。


 だって私は、今初めて自分の意思で言葉を発した。

 カリス様のために……


【黙って頷いていれば、大抵のことはうまくいくのよ】


 母の言葉に縛られ、これまでずっと頷いていればよかっただけの日々を過ごしていた。これからもそうやって、生きていくと思っていた。でも……それももう終わり……


 過去の呪いに縛られていた私はいない。


 カリス様が、私を強くしてくれたの!


 私は再び呼吸を取り戻し、リディア様をはっきりと見つめる。


(そんなこと……そんなこと……)


「そんなことは許さない!!あなたは一生日陰でコソコソ生きていればいいのよ!!」


 その瞬間、リディア様の手元で何かがきらりと光った。


 月の光を受けて、銀の小瓶が輝いていた。


(……っ!!)


 毒? それともーー。


 私はとっさに息を呑んだ。

 刹那、風が鳴り、木々の影が揺れた。


 顔を挙げたそこには一ーカリス様が立っていた。


「もう十分だ、リディア」


 低く、冷えた声。


 その声が聞こえた途端、リディア様の表情が凍る。


「……やはり、見張っていたのね」


「アリアを罠にかけようとしたのは君だ。俺が黙っていると思ったか?」


 カリス様はゆっくりと私の前に私を庇うかのように立った。その背中が、まるでおとぎ話に出てくる王子様のようで……


 私は安心して、ようやく呼吸を取り戻した。


「カリス様、私は……」


「もういい。君はよく頑張った」


 そう言って、カリス様は私の肩に手を置いた。

 その手の温もりが、震える心を包み込んだ。私は思わず目を閉じる。


 ああ、カリス様……


 やはり私の言葉は嘘ではなかった。だってカリス様の手はこんなに暖かい。

 カリス様の心はこんなにもぬくもりで満ちている……


 いつのまにか、リディアは去り、薔薇の香りだけが微かに漂っていた。


カリス様現れ方のタイミングが助けにくるヒーローすぎてめちゃくちゃかっこいい。

アリアもただ守られてばっかりのヒロインじゃないもんね。でもリディアはこのままで終わりそうもないと思うけどな……


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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