月の下の邂逅
リディアの指示通りに湖畔に来たアリアとカリス。
まずはアリアだけがリディアに会いにいく。
※アリア視点です。
夜気はひんやりと澄み、湖面には月がぽっかりと浮かんでいた。
湖畔の東屋には、たしかに一つだけ灯りがともっている。小さな灯火が、冷たい風にゆらりと揺れ、私を誘うように瞬いていた。
(本当に、来てしまったのね)
決意したはずなのに、足が震えてしまう。
湖の向こうには霧が立ち込めていて、その向こう側にカリス様の気配を感じた。
(よかった……カリス様が少し離れたところで見守ってくれてる……)
そう思うだけで、不思議と足の震えがおさまった。
東屋の中には、すでにリディア様がいた。
月光の下で見る彼女は、舞踏会での派手な化粧はしておらず、ずっと美しかった。
薄布のショールが風に踊り、白い肌が月の光を反射している。
その姿はまるで、湖に棲む妖精のようで……同時に、冷たい刃のようでもあった。
私はその冷たさに寒気を感じた。
……本当に近寄っても大丈夫なのかしら?
「ようこそ……アリア様。今宵は来てくれてありがとう」
「まずは謝罪をさせて頂戴。数々の無礼、あなたが倒れるまで追い詰めた私を許して」
「いえ……」
不思議……舞踏会の時にはあんなに取り乱していたのに、今宵はすごく穏やかだわ。
私はグッと喉に力を込める。
聞くのよアリア。ずっと聞きたかったことを。
「……リディア様、私はあなたに対して何かしましたか?リディア様がそこまで私を憎む理由が私にはわからないのです」
私がそう言った瞬間、リディア様の顔色がサッと変わった。
「……私が何かしたかですって??」
(したわよ!あなたのその儚げな態度!虚弱ぶって……)
「したわよ!私からカリス様を奪ったでしょう!?」
えっ……
カリス様を奪った?
私が?
カリス様を?
アリアちゃんはリディア様の地雷も踏みまくるんです汗
最後まで読んで頂きありがとうございました。




