どうしてそんなに憎むの
リディアからの手紙を受け取ったアリア。相談しようとカリスに見せると……
※カリス視点です。
ーーこれは……
* * *
「罠だな」
カリスはそう言い捨てると机の上に手紙を置き、窓の外を見る。
「……私、行ってみようと思うんです」
それを聞いて、俺は呆れたように短く息をつく。
「……何を言っているんだ。アリア」
「私は知りたいのです。リディア様が何故あんなに私を憎むのか……人目も憚らず私を罵ったのか……」
確かにな……
あのリディアの目つき。周囲に何と思われても構わないという感じだった。
(……俺も知りたい。何故リディアはあそこまで取り乱していたのか……)
アリアはしばらく考え込んでいたが、やがて決意したように顔を挙げる。
「……カリス様、私はリディア様に会いに行きます。だから、カリス様には私を見守っていて欲しい」
それならいいでしょう?
アリアがこちらを見つめる。そんな目で見つめられると、頷くことしかできないじゃないか。
「……わかった。ただし危険だと俺が判断したらすぐに止めるから」
「……はい!」
(何でそんな嬉しそうなんだ……傷つけられたはずなのに)
俺は窓から離れ、アリアの頬を撫でる。
「アリア……君は一度傷つけられたんだ。それどころか、今度はそれ以上に酷いことを言われるかもしれない。それでも君は会いに行きたいのか?」
「……はい。もちろんそれは覚悟しております。でも……」
「でも?」
「今の私にはカリス様がいらっしゃるから、怖くないです」
「……へぇ……」
俺はアリアの頬を撫で、可愛いらしい唇をなぞる。
「可愛いことを言うね、もう一回言って?」
「えっ……?」
「ほら、『カリス様がいらっしゃるから怖くない』って」
「……っ!//」
アリアの細い首を摩り、喉を撫でる。
「言わないとリディアには会わせない」
「……っあ、言います。言いますから……」
それを聞いて思わず吹き出してしまう。
アリアがこれほど必死になって会いたいとは……妬けるな。
会いに行こう。アリア。
そして俺も知りたい……
リディアがこれほどまでにアリアを憎む理由を。
カリス様優しいね。
アリアは強くなろうと必死です。
最後まで読んで頂きありがとうございました。




