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赤い侯爵と白い花嫁  作者: 杉野みそら
第十章 リディア・ベルダンディ

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その薔薇は血の味がする

思い込みの激しいリディアは徐々に追い込まれ、確実に狂っていく。


※リディア視点です。

ほぼリディアの独白。

「嘘よ、あの女……まるで別人みたいに綺麗になって……」


 恥をかかせてやろうと、舞踏会に招待した。


 あの女はきっと見窄らしく、不健康そうな見た目で、見るだけで呪われそうな雰囲気で現れるかと思っていた。


 私の考えは打ちのめされた。


 カリス様の横に立つアリアは、薄桃色のイブニングドレスがシャンデリアの光にキラキラと輝いて、白い肌はかすかに桃色で健康的で。


 銀髪の上に輝く赤い髪飾りが余計にアリアの魅力を引き出していて……


 私は一気に劣等感に襲われた!!


 と同時にどうしようもなく怒りが湧いた。


 嫉妬という感情だけでは物足りない……私は激情と怒りで頭がおかしくなりそうだった!


 その瞬間、私の中で何かがキレた。


 カリス様のあの一言は全部全部まやかしだった!!


 私は騙されていた!!


 唇の端に鉄の味が滲む。もうカリス様なんてどうでもいいわ!

 アリアを徹底的に(けな)して、その澄ました人形のような仮面を剥がして、めちゃくちゃに壊してやる。


「人形なら、壊しても構わないでしょう?どうせ中身なんて空っぽなんだから!」


 私は今度は別の花瓶を掴んだ。


 その花瓶を握る手が震える。白い指が血の気を失い、関節が浮かび上がる。


 額に滲む汗が、冷たく流れ落ちた。

 息は荒く、世界がぐらりとーー


 ーー……歪む。


(壊してやる。綺麗な顔も、その澄ました声も、全部……)


「リディア!どうしたんだ。この部屋の惨状は!」


 父の怒声が部屋に響いた。

 ハッと我に返る。

 花瓶が指から滑り落ち、鈍い音を立てて床に転がる。


 赤い薔薇がゆっくりと潰れていく……


「……お父様……?」


 リディアの唇が小さく震えた。

 頬を伝うのが、汗か涙かもはやわからない。


 部屋にはまだ薔薇の香りが漂い、リディアの胸をじりじりと焼き続けていた。


まるでリディアは一人で踊っているみたいですね。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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