表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
赤い侯爵と白い花嫁  作者: 杉野みそら
第十章 リディア・ベルダンディ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

81/125

心と一緒に砕けた薔薇

リディアは暴れ続ける。幻想と現実と思い込みの中で。


※リディア視点の独壇場です。

 カリス様は私の手を取って、とても自然にダンスを踊ってくださった。


 その踊る姿がとても魅力的でスマートで……周りは小さな恋人同士みたいだと囃し立てる。その声に応えるようにカリス様が言ったの。


「私とまたこうして踊ってくださいね」


 私はすっかり舞い上がってしまった……


 幼い子供の戯言を鵜呑みにしてしまった私は、カリス様の存在だけを頼りに生きてきた。ご両親がお亡くなりになってからはすっかり音沙汰がなかったけれど……


 私はずっとお慕いしていた!


 そして、つい最近カリス様がご結婚されたと聞いた……


 誰が?

 誰と?

 何が?


 私はすっかり混乱してしまった!!


「……ッ……」


 胸が焼けるように熱い。息をするたび、喉がひゅうひゅう鳴る。

 私は震える指でカップを掴み、無造作に机に叩きつけた。

 硬質な音が響き、白磁が粉々に砕ける。破片が床に跳ね、薔薇色のカーペットを切り裂いた。


(カリス様は仰った!!私とまた踊りたいと!それってつまり私と結婚したいってことじゃないの!?)


 ねえカリス様!


 思い出しただけで鼓動が速まる。頬が熱くなり、視界が霞む。


 指先に力を込め、レースの袖が裂けても気づかない。


『アリア・リリオーネ』


 アリア・リリオーネですって??


 そんな、あのリリオーネ伯爵家の末っ子でいつも薄幸そうで、不気味な白い瞳の……王立貴族学校に通っていた、成績優秀以外には影のように幽霊のように過ごしていた女が?


 そんなアリアが、カリス様のお相手?嘘でしょ??


 私は机の端にあった銀の花瓶を掴んだ。


 中の薔薇がバラバラと散り、花弁が床に赤い雨のように降り注ぐ。


 はぁっ、はぁっ……


『私とまたこうして踊ってくださいね』


 ねえカリス様、嘘でしょう?誰か嘘だと言って……


 うそ、うそ、うそ、嘘嘘うそうそうそうそうそうそうそうそうそうそ!!


もう少しリディア視点のリディアの独白は続きます。


最後まで読んで頂きありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ