豪華な食事
そうこうしているうちにどうやら夕食の準備ができたようだ。
「旦那様、ご夕食の準備ができました」
「ああ、すぐに行く」
侍女にそう言い、カリス様は私に向かって微笑みを浮かべる。
「礼拝堂は、寒かったでしょう。足も固まっていたし……」
「えっ、あの……」
私は先程の式の出来事を思い出して恥ずかしくなった。
「あの時は私、ただ緊張していて、すみませんでした//」
カリス様が頭上で微笑んでいるのがわかった。
「いいえ、あのくらいのこと……それにあなたはまるで小鳥のように軽かったですよ」
「……//」
(……カリス様……こんなにお優しいのに、なぜ酷い噂が流れるのかしら……)
「いきましょうか」
カリス様はこちらに背を向けて歩き出した。その大きな背が心強くもあり、同時に不思議な安心感を与えてくれる。
侍女に夕食の間へ案内され、扉が重々しく開く。
「わぁ!」
私は思わず声が出た。
私が目を向けたそこには、長いテーブルの上に豪華な金の燭台がずらりと並んでおり、その炎がまるで舞踏会のように壁一面を照らしていた。
白いクロスの上に並ぶ皿は、どれも色とりどりで、バターの良い香りが部屋いっぱいに広がっている。
肉料理は厚く切られたローストビーフに濃い葡萄酒のソースがかけられていた。
その隣には、香ばしく焼かれた鴨肉の皿。
焼きたてのパンからは湯気が立ち上り、飾り切りされた果物が宝石のように皿を彩っている。
(こんなに豪華な食事は今まで出された事なかったわ)
「……?」
カリス様が変な顔をしているのがわかって焦った。いけないいけない。侯爵様にとってこれは普通の食事だった……平常心を心がけなきゃ……
(でもどれもすごく美味しそう!)
「……??どうぞ、召し上がれ」
カリス様に促され、私はカトラリーを手に取り、スープに口をつけた。
中途半端なところで終わってすみません。
ここまでお読みくださってありがとうございました。




