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赤い侯爵と白い花嫁  作者: 杉野みそら
第八章 カロン・ヴァレンティ

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番外編・ハロウィンの夜

息抜きのつもりで書きました。ハロウィンの夜の二人。お暇な方はどうぞ!

 ハロウィンの夜。

 ヴァレンティ家の廊下には、かすかに蝋燭の灯りが揺れていた。

 その橙の光の中に、アリアが立っていた。


 黒いレースのドレスに、尖った三角帽子。どうやら魔女の仮装をしているようだ。その幻想的な光景に、俺は息を呑んだ。


「……可愛い……」


「そ、そうですか?//嬉しい……カリス様は……」


 俺の仮装に気づいたのだろう。

 黒い外套に、紅の裏地。首には銀の飾り。

 そして、口元にはわざとつけた牙の装飾。


「……吸血鬼、ですか?」


「そうだよ。君を迎えに来た、夜の吸血鬼だ。ふふ……」


「……そ、そうですか。あの、すごくかっこいいですね//」


 そう言ってアリアは一歩後ずさった。

 逃げようとする細い肩を、俺はそっと掴んだ。


「……どうして逃げるの?」


「ぁ……だってカリス様が……」


「俺が、何」


「カリス様がかっこいいから……直視できないです//」


「へぇ……じゃあもっとよく見て」


 そう言って俺は月明かりに顔を寄せる。アリアが息を呑むのがわかった。


「すごく……素敵です」


「君も……」


 その時アリアの首筋に月の光が落ちた。その白すぎる肌があまりに魅力的で、俺は思わず唇を寄せた。


 牙飾りが肌に触れ、アリアが小さく息を呑む。


「……カリス様……私、カリス様に食べられるんですか?」


 アリアの可愛い物言いに思わず吹き出してしまった。


「……さあ?でも君はいつも甘い香りがするから、もしかしたら……」


 俺は顔を挙げ、アリアの震える唇に指先を添える。


「とても綺麗だ。アリア……」


 そのまま口づけた。


 長い、夜のように深いキスだった。


「……はっ、」


 アリアは俺の胸の中で息を乱しながら、そっと笑った。


「は……//カリス様の悪戯、成功ですね……」


 悪戯?悪戯ではない。これは呪いだ。俺のそばを離れないように……君にだけ呪いをかけたんだ。


 君を縛る呪いを。


 外では風が吹き、カボチャの灯りがふっと揺れた。


 その夜、魔女と吸血鬼は月明かりの下で見つめ合い……お互いにいつまでも離れなかったという。


やはりこの二人にコメディ調は無理だったという言い訳を…ゴホッガハッ(咳払い)(吐血)


皆様良いハロウィンを!


最後まで読んで頂きありがとうございました。


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