番外編・ハロウィンの夜
息抜きのつもりで書きました。ハロウィンの夜の二人。お暇な方はどうぞ!
ハロウィンの夜。
ヴァレンティ家の廊下には、かすかに蝋燭の灯りが揺れていた。
その橙の光の中に、アリアが立っていた。
黒いレースのドレスに、尖った三角帽子。どうやら魔女の仮装をしているようだ。その幻想的な光景に、俺は息を呑んだ。
「……可愛い……」
「そ、そうですか?//嬉しい……カリス様は……」
俺の仮装に気づいたのだろう。
黒い外套に、紅の裏地。首には銀の飾り。
そして、口元にはわざとつけた牙の装飾。
「……吸血鬼、ですか?」
「そうだよ。君を迎えに来た、夜の吸血鬼だ。ふふ……」
「……そ、そうですか。あの、すごくかっこいいですね//」
そう言ってアリアは一歩後ずさった。
逃げようとする細い肩を、俺はそっと掴んだ。
「……どうして逃げるの?」
「ぁ……だってカリス様が……」
「俺が、何」
「カリス様がかっこいいから……直視できないです//」
「へぇ……じゃあもっとよく見て」
そう言って俺は月明かりに顔を寄せる。アリアが息を呑むのがわかった。
「すごく……素敵です」
「君も……」
その時アリアの首筋に月の光が落ちた。その白すぎる肌があまりに魅力的で、俺は思わず唇を寄せた。
牙飾りが肌に触れ、アリアが小さく息を呑む。
「……カリス様……私、カリス様に食べられるんですか?」
アリアの可愛い物言いに思わず吹き出してしまった。
「……さあ?でも君はいつも甘い香りがするから、もしかしたら……」
俺は顔を挙げ、アリアの震える唇に指先を添える。
「とても綺麗だ。アリア……」
そのまま口づけた。
長い、夜のように深いキスだった。
「……はっ、」
アリアは俺の胸の中で息を乱しながら、そっと笑った。
「は……//カリス様の悪戯、成功ですね……」
悪戯?悪戯ではない。これは呪いだ。俺のそばを離れないように……君にだけ呪いをかけたんだ。
君を縛る呪いを。
外では風が吹き、カボチャの灯りがふっと揺れた。
その夜、魔女と吸血鬼は月明かりの下で見つめ合い……お互いにいつまでも離れなかったという。
やはりこの二人にコメディ調は無理だったという言い訳を…ゴホッガハッ(咳払い)(吐血)
皆様良いハロウィンを!
最後まで読んで頂きありがとうございました。




