ツンデレカロン
カロンお姉様、頑張っちゃいます。
※カロン視点です。
「おはようございます。カロンお姉様。今日も相変わらずお美しいですね」
アリアはふんわりと微笑んだ。その微笑みがまさに天使のように儚くて……
な、な、な、な、なんですってぇ！？こ、この嫁！アリア！ずいぶん可愛いく……いや、お世辞がうまいじゃないのよ！
でもそんな事でこのカロンの心が揺れるとはお門違いなんだからね！フン！
「アリア、もう具合はいいのか？」
む？？
「ええ……もうすっかり良くなりました。カリス様のおかげです。ありがとう……」
アリアはそう言って机の上に置かれたカリスの手にそっと触れた。それきり二人は黙って見つめ合うだけになってしまった。
なによ、なんなのこの二人。言葉は無くとも通じ合ってるってか？？ラブラブアピールですか？
「そうだ、アリア。これを食べてみないか？いちごの砂糖漬けだそうだ。カロンが旅先で見つけたらしい」
「まあカロン様。私お土産買ってもらったのなんて初めてです……嬉しいですいただきます」
アリアは心から嬉しそうに顔の前で手を合わせて喜んだ。
な、何この嬉しそうな様子。たったこれだけのことで大げさね！
「あら、ちょっといちごが大きかったみたい」
アリアはでかいいちごの粒をひと口で行こうとしていた。何をやってんの！何を！お嬢様だから作法はわかってるでしょ！？
「アリア、切るから待って」
「……ん、ごめんなさい。私よくわからなくて」
ああもう見てられないわ！
「お兄様貸して！アリアの口にも入るようにしてあげるから！！」
そう言ってカロンが取り出したのはスプーンとフォークだった。
「まぁ、何かしら？カリス様」
「こうやって潰すの！まあ見てなさい」
カロンは器用にスプーンとフォークを使っていちごをつぶし始めた。
「最後にミルクを入れて出来上がりよ。これでアリアでも食べられるでしょ」
「まあ……素敵！カロンお姉様ってなんでも出来るんですのね！ありがとうございます……実家ではこんなに私に気を遣ってくれる人はいなかったので、パンは固いままで出されて、どうやって食べればいいのかわからなくて」
えっ？？
「……べっ、別にそのくらいなら毎日やってあげてもいいけど？やらなくてもいいけどね！！」
まさかこの子……食べ方がわからなくて、結果食べられなくて太れなかったとかそういう事？でも一応基本的なマナーはできてるから、本当にただ固いままのパンを出されてたの？
【実家ではこんなに私に気を遣ってくれる人はいなかったので、パンは固いままで出されて……】
確かこの子の実家はリリオーネだったわね。リリオーネ……一体この子にどんな仕打ちを？？
「アリア、取らないから安心してゆっくり食べなさい」
「ごめんなさい。こんな美味しいものは食べた事がなくてつい……カロンお姉様ありがとうございます……」
私はいちごの砕いたものを涙を浮かべて美味しそうに食べているアリアを見て、ズキリと心が痛むのを感じた。
アリア、この子に一体何があったの？
と同時に私の中でリリオーネへの怒りが沸々と湧いてきた。
私の……我が家の嫁に……一体どんな仕打ちをしてきたの！？
リリオーネ！！！！
カロンはなんだかんだでアリアを認めています。
カロンがアリアのことを言うのはいいけど別の人に悪口を言われるのは嫌なタイプです。笑
最後まで読んで頂きありがとうございました。
