狂おしい程のアリア
カリスは扉を破壊してアリアの部屋に入ってきた。その瞳は赤く光り、炎さえ燃えつくしてしまいそうで……
※カリス視点です。
俺は子鹿のように震えるアリアを見た。
ああ。アリア……
可哀想に。こんなに震えて。
掴んだ手は細く、少し力を入れたら折れてしまいそうだ。
「カリス様……離してください」
「……離さないよ」
俺はアリアの細い手を指で摩りながら口を開く。
「ねぇ、アリア……俺が無理してるって言ったよね。何でそう思ったの?」
ことさら低く、優しい声で、怯えさせないように。アリアを怖がらないように。
「えっ……そっ、それは……」
「……どうして?」
「カリス様が、私の事を迷惑だと……不気味だと思ってらっしゃるから」
「……」
スゥッと、頭が冷えていくのがわかった。同時に心臓の鼓動が痛いほど耳に響く。
ははっ……アリア。俺がいつそんな事を言った?俺がいつアリアの事を迷惑だと言った?
俺はアリアの事を一度でもそんな風に思った事はない!!握る手に、自然と力が入ってしまう。
「いっ……」
「……いつ俺がそんな事を言った?」
「……わ、私が……そう思っただけです」
「へぇ……」
アリアはそう思うんだな。俺はこんなにもアリアを思っているのに……
「アリアはそう思うんだな」
俺は握っていた手を離し、頬に軽く触れる。
アリアの頬は柔らかく、ほんのりと紅く染まっていた。泣いていたのか、目が腫れて涙のあとが少し残っている。
俺は躊躇う事なくその涙のあとを掬うように口付ける。
「なっ、カリス様やめて!//」
驚いて俺の手から逃げようとするアリア。俺は素早くそれを止める。逃がさない……
「……なんで?」
「なんでって……汚いから……です」
「アリアに汚いところなんかない」
そうだ。アリアは汚いところなど無いのだ。白くて透き通っていて、無垢で、儚くて。
食べてしまいたくなるほど、狂おしい。
アリアちゃんも結構強情な気がせんでもない。
それだけ過去がトラウマになっているということなんですかね?(聞くな)
最後まで読んで頂きありがとうございました。




