その赤は熱く低く
カロンの言葉で傷つき、自室に戻ったアリアはさらに自己嫌悪が加速していた。そこへカリスが追いかけてきて……
※アリア視点です。
* * *
「これからは、もう無理なさらなくてもいいです……」
(最初で最後のわがままです。せめてあと少し、夢を見させて……)
最初からわがままなんて言わなければよかった。夢なんて見なければよかった……
ドンッ!!
突然激しくドアが叩かれた。私は驚いて扉の方を見ると、どうやらカリス様が私の部屋のドアを蹴破ろうとしているみたいだった。
「あっ!だめ!」
私は慌てて両手でドアを押さえるようにして立った。
「……アリア。どいて、怪我するよ」
カリス様の低い声。ひょっとして怒ってる?私がまた迷惑な事を言っているから?
「カリス様、ごめんなさい」
だって私、今きっとひどい顔をしてる。
カリス様に泣き顔を見られたくなかった。
私はベッドのそばに置いてある椅子に目を向けた。これだわ!!
バゴオッ!!
まるで私の気配がなくなったのを見計らったかのように、カリス様は文字通りドアを蹴破って(破壊して?)入ってきた。
椅子を持っていた私とカリス様の目が合う。
「……カリス様……」
カリス様、すごく怒ってる?なぜ……?
カリス様は無言で私の方に向かってくる。
(に、逃げなきゃ!カリス様にこんな顔見せられないもの!こんなみっともない姿は……)
「……ごっ、ご……ごめんなさい!」
そう言って奥の部屋に逃げようとしたけど、鈍い私の足では逃げ切れず……
私の手はあっさりと掴まれてしまった。
「……ッ!は、離して!」
(カリス様……今はまだ辛いから)
「えっ……?」
振り向いた先にカリス様はいなかった。代わりに氷のように凍てつく、炎さえ燃やし尽くしてしまいそうな真っ赤な瞳の男が立っていた。
カリス様なら何とかしてくれる!多分!
最後まで読んで頂きありがとうございました。




