それでも溢れる私の涙
カロンに傷つけられ、自分の部屋に戻ったアリアは震えていた。
元々自分に自信がなかったアリアは、カロンの言葉でさらに自己嫌悪に陥っていく……
※アリア視点です。
まだ手が震えている。
動悸が止まらない。
ーー私は勘違いしていた。
カリス様がお優しいから。
あの優しい微笑みに、低い声に、褒めてくれるあの言葉に、私を否定しない態度に、つい勘違いをしていた。
『……アリア……』
「……ッ!……」
馬鹿な私。愛されてなんかいないのに……
『顔色は青白いし、今にも折れそうなくらい細くて……それにあの不気味な白い瞳!』
ーーわかっていたはずだ。こんなに白くて不気味な私は愛されない。
愛されるわけがない!
「……なんで……涙なんか、私……」
いつのまにか私は泣いていた。止めようとしても次々と涙が溢れて止まらない。
私なんか、泣くのも烏滸がましいのに……
「アリア!!ここを開けてくれ」
ノックの音と共に、カリス様の声が聞こえる。
カリス様、お優しいから追いかけてきてくれたのかな?でも今はその優しささえ辛くて仕方がない。
「カリス様……今までごめんなさい」
ドア越しにカリス様に話しかける。
「えっ?」
「カリス様も……私の事、不気味でしたよね」
「何を言ってるんだ?」
俯いたその時に、目に映る私の白い手。青白くて血色のない……消えてしまいそうな……
「私、勘違いしませんから……大丈夫です」
平気だ。ただの一人に戻るだけじゃないか……今までと同じように。
「……さっきから何を言っている」
「カリス様……私となんでも一緒にしてくれるって言ってくれた事……嬉しかったです」
【一緒だ。これからは何でも……】
「……」
たとえそれが、カリス様の気まぐれであっても、同情だとしても嬉しかった。
「これからは、もう無理なさらなくてもいいです……」
泣くな、泣くな……溢れるな。私の涙……
「……無理だと……?」
私は無言で頷く。涙で声が出なかった。
(最初で最後のわがままです。せめてあと少し、夢を見させて……)
最初からわがままなんて言わなければよかった。夢なんて見なければよかった……
でもカリス様、私は幸せでした。
たとえ一時でも、あなたと一緒に過ごす事ができてーー
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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