表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
赤い侯爵と白い花嫁  作者: 杉野みそら
第五章 暗い影

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

38/126

アリアには敵わない

侯爵家の次男、ランスと会ったカリスとアリア。

カリスは警戒心をあらわにするがアリアは……


※カリス視点です

「……そうだろう」


 俺の声はまるで地の底から聞こえるかのように低く響いた。


「おいおいカリス。そんな怖い顔をするなよ。じゃあ俺はまだ来てない客がいるから失礼するよ。アリア、楽しんでくれ」


「……アリアを気安く呼ぶな。ヴァレンティ侯爵夫人と呼べ」


「おー、怖い怖い」


 ランスはそう言って逃げて行った。ふん、腰抜けが……


 ランスの姿が完全に見えなくなった瞬間、アリアが横でホッとため息をつく。


「ああ、緊張しましたわ!社交界ってこんなに大変なんですね……!カリス様、私ちゃんとできていたでしょうか?」


 俺とランスのバチバチのやりとりも気にせず、アリアは自分のことで手一杯のようだった。俺は思わず吹き出してしまった。


「……ははっ!アリア、君は本当に面白いな」


「?……もしかして、私何か不手際を?」


「いや、完璧だった。その手、指先、お辞儀の角度、足の先さえも……」


 俺はそう言ってアリアの手をゆっくりと(さす)った。


「……//そっ、それは……」


「ん?」


「……よかった……です//」


 真っ赤になって俯くアリア。可愛いな……


「もしかしてまだ緊張してる?」


「ち、違うんです//カリス様が……」


「……俺が、何?」


「今宵のカリス様が、あまりに凛々しいので……それで私、直視できないのです」


「ッ!そ、そうか……」


 俺は短く息をつき、軽く微笑んだ。先程まで(つか)えていた心の(もや)が、ゆるゆると解けていくようだった。


(……まったく、かなわないな)


 おそらくアリアは知るよしもないだろう。アリアのそのたった一言で、何度でも俺の心を溶かしてしまうことを。


アリアの純粋さには、カリス様もかなわないんですね。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ