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赤い侯爵と白い花嫁  作者: 杉野みそら
第五章 暗い影

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崩れゆく理性

美しいアリアを誰にも見せたくなくて、カリスはどんどんどす黒い感情に支配されていく。


※カリス視点です。

 どうしたというのだ俺は……こんな気持ちになったのは初めてだ。


 アリアを誰にも見せたくなくて、閉じ込めたくなる。

 泣かせたくないのに俺の言葉で泣かせたくなる。


 それどころか、アリアの純粋な気持ちにつけ込んで、俺に依存させようとしている。


 アリアが俺だけしか見ないように、俺だけ……


(……アリアには俺しかいない!)


 ーー暗い気持ちが押し寄せてくる。

 これは独占欲だ。醜くてドロドロの黒い感情だ。


「カリス様?」


 その時、アリアの声がしてハッと思考が引き戻される。


「どうしたんですか?気分でもお悪いですか?」


「……いや、平気だよ。ありがとう」


 アリアはふわっと微笑んだ。可愛いな、クソッ……


 ……ついつい下品な言葉が出てしまう。それというのもアリアが可愛いのがいけない。


「……よかったです。ずっと怖い顔をしてらっしゃるから、怒っているのかと思いました」


 アリアは俺の気も知らず見当違いなことを言う。それさえも可愛いかった。


「怒ってなどいない。ただ、嫌なだけだ……」


「嫌?何がですか?」


「……君を見る皆の視線が嫌なんだ……」


「私を見る……視線……?」


「……気付いていないのか?さっきからずっと皆に見られているぞ」


「まぁ、気付きませんでした!でも私はカリス様が……」


 心臓の音が高鳴った。アリアの次に続く言葉を期待してしまう。


「俺が、何……?」


 わかっているのに聞く。今日の俺は本当に意地が悪い。

 でもアリアの声で聞きたいのだ。仕方ない。


「私はカリス様が見てくだされば、それだけで嬉しいので……//」


「へぇ……」


 どうしたらいい。


「アリア……」


 このどうしようもなく暗い気持ちを。


「キスしたい……」


 アリアの可愛いさに振り回される俺を。


「……こっ、こんなところで//皆んな見てるのに……」


 俺の言葉でくるくると表情を変える君を。


「……ふふ、では見せればいい」


「そんな……//」


 どうすればいいのかわからない……


「……んっ//」


 死角に素早く入って、頬を染める可愛いアリアにそっと口付けた。

 アリアが可愛いのがいけない。アリアが逃げないのが悪い。


「もう……カリス様ったら//」


 照れて真っ赤になるアリア。俺だけしか知らないアリア。


「……たまらねぇな……」


「えっ」


「いや、なんでもない……」


 ……依存しているのは俺も一緒かもしれない。アリアの言葉に、仕草に、微笑みに、こんなにも振り回されて。


 以前の俺からしたら考えられないことだった。

 "氷の侯爵"と呼ばれていた頃の自分からは想像できなかった。


 アリアが俺を変えたのか。先程まで尖っていた心のささくれが、アリアの言葉でほぐれていくのを感じた。


カリス様は完全に言葉遣いが崩れてます。

これもアリアのおかげ?なのでしょう。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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