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赤い侯爵と白い花嫁  作者: 杉野みそら
第五章 暗い影

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仄暗い想いの正体は?

アリアのいつもとは違う装いに、カリスは戸惑う。

だがそれ以上にカリスが戸惑ったのは……


※カリス視点です。

 アリアの心を乱すのも、沈めるのも俺だけ。

 

 俺だけが、その権利を握っているという事実がどうしようもなく俺を高揚させた。


「……楽しみだな、晩餐会」


 本音を言えばこの美しいアリアを誰にも見せたくない。特にあの軽薄なランスには見せたくな……


 考えてハッとする。


(俺は今何を考えていた……?アリアは……)


 俺はアリアの方を見る。美しいアリアが、優しく微笑んでこちらを見ている。


 ……俺は何を考えている?


 俺を見て微笑み、俺の一言で一喜一憂する姿を、俺に対して呼びかけるその声ごと……閉じ込めてしまいたいなどと……


 思考が、恐ろしい。


 アリアはずっと一人で、孤独に過ごしてきたんだ。誰にもかまってもらえず、中庭の散歩に行くのさえ侍女がついてくる。


 母や兄、姉さんたちに会えるのは習い事の時のみで、与えられた部屋でただ時がすぎるのを待つ。そんな寂しい時間をずっと過ごしてきたのに……


 それがわかっているのに、またどこかにアリアを閉じ込めようというのか?俺は……


「カリス様??どうなさったんですか?」


 アリアの声で俺の思考は引き戻される。


「……アリア……」


 俺は何も言わずにアリアを抱きしめる。


「……」


 口を開いて、言いかけてまた閉じる。


 ーー言えない。アリアには知られてはいけない。俺のこの恐ろしい思考は。


 俺がこんなにどす黒い思いを(つの)らせているだなんて……俺自身が一番戸惑っている。

 アリアの赤いドレスに魅入られたのだろうか?それともこれは……この感情は何だ?


「カリス様?本当に大丈夫ですか?」


 アリアはそう言って俺の顔に手を差し伸べてくれた。


 アリアはその白い小さな手を差し伸べてくれているのに、俺はこの手を縛りつけようとしている……理性がグラグラする。


「……ああ、ただ少し、目が(くら)んだだけだ。アリアがあまりに眩しいから……」


「カリス様ったら!//」


 本当だよ。アリア……


 君があまりに眩しくて、俺は立つのもやっとなんだ。


うんうん、それもまた愛だね(?)


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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