全て赤いドレスのせい
仕上がったドレス姿をカリス様に一番に見てもらいたかったアリアはカリスを自分の部屋に呼ぶのだった。
※カリス視点です。
夕暮れが屋敷の外壁を赤く染める頃、アリアの支度が整ったとミツキが知らせに来た。
「カリス様、どうぞお入りください」
とアリアの涼やかな声が聞こえ、俺は扉を開ける。
「……ッ!!」
「カリス様!」
ーーアリアが嬉しそうにこちらを振り向いたその瞬間、息が止まった。
そこには深紅のイブニングドレスを纏った美しい女性がいた。胸元から裾にかけて光の粒を散らしたような刺繍が施され、髪には俺が贈ったルビーの髪飾りが揺れている。その堂々としたアリアの立ち姿に俺は圧倒された。
いつもの可憐で初心な、照れたり怯えたりしているようなアリアはいなかった。
「アリア、なのか?」
俺は間抜けにもそう口にしていた。アリアはそんな俺の様子にくすくすと笑う。
「ふふっ、カリス様。アリアですよ。……どうですか?私のドレス……マツリさんと相談して決めたんですけど」
「すごく綺麗だ。美しい……こんな美しい女性には会った事がない」
「カッ、カリス様ったら//褒めすぎですってば!」
「……本当だ。すごく……魅力的だ」
「……//」
俺の言葉に、アリアはついに口をつぐみ、頬を染めて俯く。
(そういえばアリアはあまり褒められたことがなかったと言っていたな……)
「すごく綺麗だよ、アリア」
「〜〜〜〜//」
(アリアはおもしろいな……俺の言葉ひとつでこんなに表情を変えて……)
外見はこんなに美しいのに、中身はまるで……
俺はアリアに一歩近づく。
一歩、また一歩……
アリアに近付くほど、アリアはどうしていいかわからない様子で狼狽する。
(逃げないの……?)
妙だな……アリアのこの怯えて照れる表情を見てると……
俺はアリアの真っ赤になってしまった頬に手を滑らせ、同じように赤い唇に指でそっと触れる。
(柔らかい……小さな唇)
「……逃げないの?」
「えっ、そっ……//」
アリアが言葉を発する前に、俺はその唇を塞ぐ。
「…………っ//」
アリアのこの怯えた表情を見ていると、たまらなくなる。この表情を見たことがあるのが俺しかいないと思うと……
加虐心が刺激される。どうしようもなく。
……カリス様?汗
そんなキャラでしたっけ。何かのスイッチ入ったのかな。
最後まで読んで頂きありがとうございました。




