黒い森のピクニック
以前来た時は充分に楽しめなかった黒い森。アリアとカリスの二人は黒い森の散歩に再び来ていた。
※アリア視点です。
それから少し経ち、私たちは再び黒い森へ来ていた。
カリス様が、前に来た時には私がすぐ寝てしまって楽しめなかったからやり直しと言ってくださって。
(やはりカリス様は優しい……こんなに私に気を遣ってくれて……)
以前来た時より森の緑は濃くなっていた。木々の隙間から射す光は穏やかで、鳥のさえずりが空へ吸い込まれていく。
「空気が気持ちいいですね!晴れてよかった」
私はバスケットを抱えながら言う。
今日は私がしたことのないピクニックというものをしに来たんです。
湿った土の香りが穏やかで、遠くでは小川のせせらぎが聞こえた。
「ああ、そうだな」
カリス様が手にした毛布を広げて草の上に敷き、その上に女中たちが持たせてくれたサンドイッチと果物を並べる。
「わぁ〜!ピクニックなんて夢みたい!実家ではできなかったから!それに誰かと一緒になんて……」
(あっ、しまった!つい……私……)
私は自分がはしゃぎすぎている事に気づいて、急に恥ずかしくなった。
「……」
カリス様がじっとこちらを見ていた。
(い、今の見られたかな?どうしよう、恥ずかしい……淑女じゃないって怒られるかな)
などと私が考えていると、いつのまにかカリス様の顔が近づいて来て、私の唇にそっと触れた。
「〜〜〜〜ッ!!//」
「……すまん。あまりに可愛いかったから」
「いっ、いえ……大丈夫です!!//」
初めてキスをされたあの日から、私たちは女中たちの目を盗んでしょっちゅうキスをするようになった。
おはようのキスはもちろん、日常のちょっとした空き時間に、何気ない時間に、おやすみの時間まで……
その口付けは触れるだけの軽いものだったけど、それがなんだかとてもくすぐったくて……嬉しくて……
カリス様が、私を大事に思っている気持ちが伝わって来て……//
(……カリス様、お優しい……な……)
私はほんのりと熱くなった唇を撫でた。
アリアはまだ恋に恋してる段階、なのかな?(アリアの真似)
最後まで読んで頂きありがとうございました。




