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赤い侯爵と白い花嫁  作者: 杉野みそら
第三章 あまりに甘いキス

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赤い髪飾り

アリアは贈り物を受け取りに、カリスの部屋に来ていた。


※カリス視点です。

 その日の夕方、日差しが差し込む部屋の中で俺は静かに箱を取り出した。


「ああ、あった」


「なんでしょう?綺麗な小箱ですね……」


 濃紺の布に包まれた小箱。

 

 開けた瞬間、銀色の縁取りに囲まれた赤いルビーが光を弾く。


「わ……綺麗……」


 思わずその美しさに息を呑んだ。


 ルビーは燃えるように赤く、それでいて深い静けさを(たた)えている。

 炎のような情熱と、どこか懐かしい温もり。まるで、カリスの瞳の色そのもののようだった。


「まだ俺が生まれる前に祖母から贈られたものだと聞く。俺の性別が男だとわかってこれは不要になり、ずっと棚にしまっていた物だ」


「カリス様のお祖母様から?素敵……でもそのような大事な物をいただいてもいいのかしら?」


「いいよ。それにこの髪飾りは、一昔前のデザインだ。アリアに似合うといいが……」


 俺はそう言ってアリアの髪に触れる。


「……ッ!//」


「付けてあげるから、じっとして」


 俺はアリアの背後に回ると、慎重に髪をすくい上げ、指先で髪飾りを留める。アリアの髪はすべすべで、いい匂いがした。ずっと触っていたい。


 髪飾りは驚くほど似合っていた。白銀の瞳と白銀の髪の色がルビーの埋め込まれた髪飾りに反射して、アリアの顔を一層輝かせていた。その可憐さに俺は思わず息を呑む。


「……似合ってるよ。鏡をみて、アリア」


「……//あの」


(恥ずかしい、カリス様に見られながら鏡を直視できない)


 アリアは両手で顔を覆ってしまった。


「……?アリア?」


 俺はアリアの小さな手を静かに取った。アリアは意外にもすんなりその手を俺に預けた。

 アリアの白銀の瞳と目が合う。その頬がほんのりと色づいて、アリアの唇が無防備に開いて……


 キスしたいな……怒るか?


「……逃げないの?」


「えっ?何かするんですか?」


「……する」


 椅子に座ったままのアリアの頬を撫でて、そっと髪を払う。ほんの一瞬アリアが戸惑う間に、俺はアリアの唇に触れた。


 ……柔らかくて、甘い。それに……


 キスというものはこんなに甘美なものだったのか。何度でもしてみたい……


 自分がしたことなのに、何故か顔が熱くなる。  

 まるで少年に戻ったかのようだった。


この二人実はまだキスしてなかったんですよね汗


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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