赤い髪飾り
アリアは贈り物を受け取りに、カリスの部屋に来ていた。
※カリス視点です。
その日の夕方、日差しが差し込む部屋の中で俺は静かに箱を取り出した。
「ああ、あった」
「なんでしょう?綺麗な小箱ですね……」
濃紺の布に包まれた小箱。
開けた瞬間、銀色の縁取りに囲まれた赤いルビーが光を弾く。
「わ……綺麗……」
思わずその美しさに息を呑んだ。
ルビーは燃えるように赤く、それでいて深い静けさを湛えている。
炎のような情熱と、どこか懐かしい温もり。まるで、カリスの瞳の色そのもののようだった。
「まだ俺が生まれる前に祖母から贈られたものだと聞く。俺の性別が男だとわかってこれは不要になり、ずっと棚にしまっていた物だ」
「カリス様のお祖母様から?素敵……でもそのような大事な物をいただいてもいいのかしら?」
「いいよ。それにこの髪飾りは、一昔前のデザインだ。アリアに似合うといいが……」
俺はそう言ってアリアの髪に触れる。
「……ッ!//」
「付けてあげるから、じっとして」
俺はアリアの背後に回ると、慎重に髪をすくい上げ、指先で髪飾りを留める。アリアの髪はすべすべで、いい匂いがした。ずっと触っていたい。
髪飾りは驚くほど似合っていた。白銀の瞳と白銀の髪の色がルビーの埋め込まれた髪飾りに反射して、アリアの顔を一層輝かせていた。その可憐さに俺は思わず息を呑む。
「……似合ってるよ。鏡をみて、アリア」
「……//あの」
(恥ずかしい、カリス様に見られながら鏡を直視できない)
アリアは両手で顔を覆ってしまった。
「……?アリア?」
俺はアリアの小さな手を静かに取った。アリアは意外にもすんなりその手を俺に預けた。
アリアの白銀の瞳と目が合う。その頬がほんのりと色づいて、アリアの唇が無防備に開いて……
キスしたいな……怒るか?
「……逃げないの?」
「えっ?何かするんですか?」
「……する」
椅子に座ったままのアリアの頬を撫でて、そっと髪を払う。ほんの一瞬アリアが戸惑う間に、俺はアリアの唇に触れた。
……柔らかくて、甘い。それに……
キスというものはこんなに甘美なものだったのか。何度でもしてみたい……
自分がしたことなのに、何故か顔が熱くなる。
まるで少年に戻ったかのようだった。
この二人実はまだキスしてなかったんですよね汗
最後まで読んで頂きありがとうございました。




