表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
赤い侯爵と白い花嫁  作者: 杉野みそら
第三章 あまりに甘いキス

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/124

好きな時間に食べて寝て

屋敷に戻った二人。アリアはこれからは何でも一緒にしたいとカリスに提案する。


※カリス視点です。

 森を抜けて屋敷に戻ると、白い息がまだ空に溶けていくような時間だった。

 窓辺の花々は夜露をまとい、朝の光を受けてきらきらと輝いている。

 すべてが新しく、生まれ変わったように見えた。


「わぁ!もう食事が用意されているわ!美味しそう」


「うちの女中たちは優秀だな」


 アリアは侍女の案内で俺の隣に座る。


(カリス様と一緒の朝食……夢みたい。私はもう一人ではないのね)


 アリアが俺の方を振り返って、意を決したように口を開く。


「カリス様……私、これからもカリス様と一緒に何でもしたいわ。何でも……」


「ああ……一緒にしような。なんでも」


 アリアの顔がぱっと明るくなり、笑顔で俺の胸に飛び込んできた。


 まるで子どものようだ。いや実質子どもみたいなものか。アリアはずっと満足に散歩にも行けず、じっと部屋の隅で孤独に過ごしてきたのだから……


「……一緒だ。これからは何でも……」


 俺がアリアの髪の毛を撫でながらもう一度呟くと、腕の中のアリアが涙ぐみながら小さく頷いた。


(もう二度と、アリアを傷つけさせない。たとえ誰であっても……)


「と、その前に……」


「……??」


 アリアが不思議そうに顔を挙げる。可愛い顔だな……いやそうじゃなくて……


「まずは腹ごしらえが先だ。何度も思ったことだがアリアは痩せすぎなんだ。これからはもっと太ってもらう!」


「ええっ!?ふ、太ってもらう?私そんなに痩せてますか??」


「ああ、おそらく実家でろくなものを食べてこなかったのが原因だ。これからはこのヴァレンティ家のしきたりに従ってもらう。まずは思い切りたらふく食べて好きな時に寝て過ごしてもらおう」


「ほほほ、それは素敵なご提案でございますね!」


 側に控えていたミツキが耐えられないといった感じで笑いだす。


「アリア様は愛されていますね。ねえカリス様?」


「えっ??」


「ミツキ、余計なことを言うんじゃない」


 ミツキが口元を押さえてくすくす笑うのを横目に、アリアは頬をほんのり赤く染めてうつむいた。


 湯気の立つスープの香りが、あたたかく二人の間を満たしていく。

幸先がいいですね!これからどんどん二人の距離が縮まってくれると嬉しいな。

カリス様は中々愛を言葉にして出せないタイプです(今更)。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ