黒い森の抱擁
カリスの腕にすっぽりと包まれて安心したアリアは、ポツポツと自分の過去を語り始めるのだった。
※カリス視点です。
※ここから二話はだいぶ重い話になります。
しばらくアリアを抱きしめていた。小さくて可愛い、真っ白なアリア。
俺の……アリア。
離したくない。これが独占欲というやつか。こんな気持ちは初めてだった。だが、不思議と心地良い。
森の風が葉を揺らす音だけが、静かに響いた。
「……カリス様」
胸の辺りで、か細い声が聞こえる。
「……私、言いたいことがあるんです。聞いていただけますか?」
それは吐息のように小さな声だった。
「……ああ」
「私の両親のことです。……母は特に厳しい人で、常に淑女として毅然とした態度で過ごさなければなりませんでした」
アリアの体がまた小刻みに震えてきた。俺は腕の中で震えるアリアを抱きしめ直す。まるで包み込むように。
守ってやりたい。
アリアを害する全てのことから……変だな。こんな事は今までなかった。
自分から人を守ってやりたいなどと思うのは初めての事だった。
「アリア、無理して話さなくてもいいんだよ」
「いえ、大丈夫です。話せます。カリス様に包まれているから……怖くないです//」
俺は思わず顔を覆った。……どうしてこのように可愛い事を言うのだアリアは。無意識か??だとしたら恐ろしい……
アリアは俺の服の裾を掴みながら続きを話し始めた。
「……だけど私は母の言われた通りにできなくて……少しでも間違えれば手の甲をつねられるんです。母の納得のいくようにと思えば思うほど、余計な力が入ってできず……」
アリアが袖を握る手に力を込めるのがわかって、俺はその手を包み込むように握った。
『全く……アリアは何もできないわね。何だったら完璧にできるの?』
母はついに言いました。『アリアは黙って頷いていればいいの。そうすれば大抵の事はうまくいく』と……
母にはそれが、何もできない私の唯一できる事だと思ったのかもしれません。
でもそれは、私には呪いの言葉でした。その言葉を胸の奥で反芻するたびに『私には何もできない、何だったら完璧にできるの?』と母に言われているようで……
その内、私は母にも兄弟たちにも、侍女たちにさえ呆れられ……見放されたのです。
アリア……( ; ; )
シリアスな話が続いてすみません。
最後まで読んで頂きありがとうございました。




