はしゃぐアリア
母の呪いから徐々に解放されつつあるアリアは、自室で大はしゃぎするのだった。
*印以降は三人称です。ウロウロしてすみません。
もう、私はお母様の顔色や誰かの目を気にして過ごさなくてもいいのね……
そう思うと、なんだかワクワクしてきたわ!
「ありがとう!ミツキ!これからよろしくね!」
私はそう言ってミツキの手を握った。
「ええ、こちらこそ」
「このベッド、ふかふかだわ……それにいい匂いもする!ああ、私今最高に幸せかもしれない!」
「ほほほ、なんとまあ無邪気な……」
コンコンッ!
私がベッドの端から端を測ろうとしていた時、扉が鳴った。
「アリア嬢、入ってもよろしいか」
(カリス様だ!!)
「は、はい!もちろんです!」
バッと立ち上がった瞬間、ふわりと天蓋の布が揺れ、私は裾を踏んで転けそうになった。
「きゃっ」
カリス様が来てその腕を伸ばし、鍛えられた手が私の手首を包み込み、支える。
「おっと……大丈夫か?」
「は、はいっ......!」
(カリス様の顔が、近い……!しかも、すごくいい匂いがする……)
心臓が、ドクンと跳ねた。
「……っ!」
* * *
カリスもまた、アリアの顔が間近にあることに一瞬息を詰めた。
銀色の髪の隙間からのぞく柔らかな頬。驚いた拍子に少し開かれた唇が、思いのほか無防備で。カリスの中で何かが鼓動を打ち始めた。
氷のように閉ざしていたカリスの心に、アリアがそっと光を照らす。
(何をドキドキしているのだ私は……私はこんなことで心を乱す男じゃなかったはずだ……いつも上辺だけの体裁を取り繕い石のように心を閉ざし……)
「……あ、あの……すみません、私、はしゃぎすぎて……淑女じゃないですよね。でも私こんな豪華な部屋は初めてで嬉しくて」
アリアが慌てて身を引くと、カリスは咳払いをひとつして視線をそらした。
「……いや、気にしないでください。このベッド、そんなに気に入りましたか?」
カリスがそう言うと、アリアの顔がパッと明るくなる。
「はい!とても気に入りました。見てください!このベッド!ふかふかでまるで雲の上にいるみたいなんです!」
そう言って、アリアはベッドにぽすんと腰を下ろし、軽く跳ねるように両手を広げて見せた。
その光景に、カリスの胸の奥で何かが弾ける。
(何をしているんだアリア嬢は……まるで子供のようにはしゃいで……)
やはりカリス様の優しさは見せかけだったのね〜!!
カリス様はこれからどうなるのかな。
アリアよかったね!
最後まで読んで頂きありがとうございました。




