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赤い侯爵と白い花嫁  作者: 杉野みそら
第二章 可愛い夫婦

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アリアの部屋

カリスの優しさに触れて、戸惑いながらも胸の奥で何かが芽生えそうになっているアリア。侍女の案内で自室に案内されるが……

 食事の後、アリアの部屋の前で足を止めてアリアは戸惑っていた。


「えっ……これが私の部屋……?嘘でしょ?」


 天井は淡いクリーム色で、金の縁取りが優雅に走っている。

 シャンデリアからは柔らかな光が降り注ぎ、部屋全体をやさしく照らしていた。

 大理石の床は、薄いピンクと白の市松模様。歩くたびに、ひんやりとした感触が足の裏に心地よく伝わる


 部屋の中央には、大きな四柱式のベッド。白と淡いローズピンクの生地で覆われた天蓋がふんわりと垂れ下がり、まるでおとぎ話の一幕のようだ。


「わぁ!すごく可愛い」


 棚には陶器のうさぎや宝石箱が整然と並び、思わず手に取って眺めたくなるほど可愛らしい。 


 暖炉には淡い橙の炎がゆらめき、静かに部屋を包み込む。

 豪奢でありながら、不思議と心の落ち着く温もりがそこにはあった。


「すごい……ここが私の部屋?何かの間違いではない??」


(……こんなに……素敵な部屋……私、こんなに特別にされるなんて……)


 胸がぎゅっとなる。豪華で圧倒されるのに、ところどころに散りばめられた可愛いらしさに、自然と頬が緩む。ここでなら、私も少しだけ自分らしくいられるかもしれない。

 そんな気持ちが、ぽっと胸に灯った。


「間違いなくアリア様の部屋ですよ」


「あっ、あなたは……確か」


「はじめまして。今日からアリア様の身の回りのお世話をさせていただきます。ミツキです」


「ミツキ……さん」


「呼び捨てでいいですよ?」


(呼び捨て……)


 実家では、侍女たちとの会話は最低限の挨拶しかなかったけど、いいのかしら?


「アリア様、なんと愛らしい奥様でしょう。どうぞ、何なりとお申し付けくださいね」


 奥様……?


 そうか、私結婚して……カリス様の奥さんになって……だから……


「ここは奥様のお部屋、そしてこの屋敷は旦那様と奥様のお屋敷でございますよ」


 ミツキがそう言って微笑む。


「あ……」


 そっか……もう、私はお母様の顔色や誰かの目を気にして過ごさなくてもいいのね……


 そう思うと、なんだかワクワクしてきたわ!


「ありがとう!ミツキ!これからよろしくね!」


 私はそう言ってミツキの手を握った。


「ええ、こちらこそ」


アリア、この家で人生を取り戻しましょう!


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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