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赤い侯爵と白い花嫁  作者: 杉野みそら
第一章 始まり

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食後のあったかハーブティー

ワインをこぼして昔の苦い記憶が蘇ってきて慌てるアリア。絶対怒られると思っていたのに降ってきたのは優しい言葉で……

「このクロスは侍女が片付けてくれます。驚かせたね、こちらへ」


 そう言って、カリス様は穏やかに微笑んだ。

 

 その微笑みは、蝋燭の光を受けて柔らかく輝き、私の胸に、じんわりと温かいものを灯した。


「……ありがとうございます」


 小さな声でそう呟いた瞬間、頬が自然と熱を帯びていた。


(……怒られると思ったのに……カリス様は優しい)


 しばらくして新しいクロスが用意され、食卓は再び穏やかさを取り戻した。

 だけど私の胸の鼓動だけは、先ほどからまるで落ち着いてくれない。


(どうしてこんなにドキドキするの??こんな事、前の家ではなかったのに……!)


 恥ずかしいと思えば思うほど、余計にドキドキしてしまう。


(静まって……お願い。カリス様に聞こえちゃうの……)


 カリス様は硬直して突っ立ったままの私を見て、視線を和らげた。


「アリア嬢。……食後に、温かい紅茶を飲みませんか。気持ちを落ち着けるのに良いですよ」


「は、はい……!」


(とは言っても、もう全然食欲がないわ……)


 カリス様は椅子に座って呆然としている私に目を向けて、侍女に何か指示をしていた。


「アリア嬢、これを飲んで……ハーブティーだ」


「ひゃい!!」


 私はカリス様の声に弾かれたように返事をする。


(ひゃい??)

「今の君には紅茶よりハーブティーがいいかなと思って」


(カリス様……なんて優しいの……)


「い、いただきます……」


 私は両手でカップを包み込みながら紅茶を飲む。ほんのりと甘く、温かい。


「美味しい……」


(こんなに優しくされたのはいつぶりだろう……)


「それはよかった」


 ハーブティーは温かく身体にしみこんだ。私はカリス様の方を見た。カリス様は穏やかにこちらを見ていた。その穏やかな視線に伴うように、私の鼓動も、徐々に穏やかさを取り戻していった。


 蝋燭の(あかり)が二人の間に淡く揺れ、その夜の静けさだけが、優しく二人を包んでいた。



アリアは優しくされることに慣れてないので困惑していますね。カリス様は優しいけど本当か?(懐疑) 


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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