お髑髏(おしゃれこうべ)
僕はファッションが好きだ。流行を追いかけるトレンドファッションよりは、個人で好きな洋服を楽しむほうを好んでる。
『ファッション』にはいろんな物がある。流行を抑えたファッションに、僕みたいな個人の美意識に基づいたファッション。「美」という概念を探求するファッションもあるし、「人間美」という洋服を着る人間の美しさを追求するファッションもある。
どれも美しいし、それぞれの良さがある。
僕は『ファッション』って人生だと思ってる。
おしゃれを追求した洋服は、間違いなくおしゃれだ。だけど僕は、人の生活に根ざした作業服やエプロンといった洋服も魅力的で美しいと感じる。
作業服やエプロンを人は「おしゃれ」と言わない。でも僕は、作業服やエプロンといった人の生活に根ざした服は、着た人の頑張りがデザインされていて美しいと思う。
例えば、作業服の一部が擦れているのは、その人がベルトの装着といった動きを繰り返したからであり、その擦れは仕事を頑張った証だと僕は思う。エプロンの紐がほつれていたり、色落ちしているのは、そうなるほど汚れて洗濯されてきたからだと僕は思う。
誰かが愛用して、その人の色がデザインされた洋服は、もはや洋服という枠を超えて、その人の人生そのものだ。
トレンドファッションを追うのもいい。
個人ファッションを追求するのもいい。
でも、自分の事情で着ている洋服も僕は美しいと思う。
僕らは死ぬまで洋服を着続ける。そしていつか死ぬときに、やっと洋服を脱ぎ去るだろう。
洋服を嫌いになったからではない。
『洋服好き』という想いを着て僕らは骨になる。
だから、骨になった僕らに洋服はいらないのだ。