ようこそ、終の家へ
ようこそ、いらっしゃいました。
ここは、「終の家」です。
こちらにいらっしゃる方々は、いずれも再犯を重ね、更生の余地なしと判断された方々です。
ここでは、そうした方々がどのような扱いを受け、どのように社会に貢献しているのかを、皆様にご見学いただきます。
そして、犯罪を犯すとどうなるのか――その現実を、しっかりと学んでいただきたいのです。
まず、彼らは判決の後、この薬を注射されます。
この薬は神経に作用し、全身麻痺と同様の状態を引き起こします。
その後、手術室にて言語機能を除去し、あわせて胃ろうの処置を施します。これにより、平均寿命が大幅に延びることが証明されています。
この処置によって、彼ら彼女らは安全に管理され、社会貢献活動に従事していただくことが可能となるのです。
たとえば最も多いのが、治験への協力です。
この施設を通じて効果が確認された薬の多くが、身体機能障害、神経障害、精神障害に苦しむ多くの方々にとって大きな希望となっています。
次に、少子化対策です。
全身麻痺の状態でも妊娠機能には支障がないため、女性の方々にはご協力いただきます。
生まれた子どもたちは、国が運営する施設で保護・育成されます。
また、麻痺状態であるため、出産時の管理が容易で、予定外の事態にも迅速に対応できる点も評価されています。
なお、仮に冤罪であった場合も、身元引受人の方がいらっしゃれば引き取りが可能で、人工授精による妊娠も選択されています。
人は、貴重な資源です。
無意味に命を奪うのではなく、このように「活用」することでこそ、社会は持続可能となるのです。
また、これは予期せぬ副次的な効果でしたが、胃ろう処置により食料問題への貢献も得られました。
もともと犯罪者に提供していた食糧が不要となり、その分を国民に回すことができるようになったのです。
――さて、ここまでご覧いただきましたが、最後に一つだけ。
どうか、皆様には法を遵守していただきたい。
また、自殺もおすすめできません。
ここには、精神科病棟で幾度も自殺未遂を繰り返した方々も、多数いらっしゃいます。
私としては、このような人生を望みません。
しかし、彼らの存在が私たちの生活を支えているという事実も、また否定できないのです。
どうか皆様が、利用者としてではなく、スタッフとして――再びここを訪れてくださることを願っております。
それでは、ごきげんよう。