営業許可がおりないだって!?
今回はセリフ多めのかなり長いお話ですが最後まで見ていただける嬉しいです。
あんずちゃんとシャルさんが家族の一員になってから1ヶ月の月日が流れた
相変わらず開店と同時に長蛇の列ができ閉店までお客さんが途切れないほどの繁盛ぶりを見せていてほぼ同じようなルーティンをこなしていた。
ある日の開店前ドアが突然開きまだ開店前であることを告げようとするとそこにはアナスタシアさんともう1人見たことのない初老を迎えた男の人が入ってきた。
「アナスタシアさんお久しぶりです」
そう話しかけるとアナスタシアさんと初老の男性は少し困った顔で話がしたいと言われたので3階の居住スペースに案内した。
シャルさんは初老の男性のことを知っていたようでどうやら商人ギルドマスターのようだ
商人ギルドのトップがわざわざ来るということを考えるとあまりいい話ではないような感じがしつつも人数分のお茶を淹れ椅子に座るとアナスタシアさんが重い口を開いた。
「実は少々困ったことになりまして・・・
サウザンド商会ってご存知でしょうか?」
どこかで聞いたような聞いていないような感じがしわからないことを告げると
「実はそのサウザンド商会が明日香商店の営業許可を認めないよう圧力をかけてきたんです」
アナスタシアさんがそう告げるとギルドマスターは経緯を説明してくれた。
「サウザンド商会はこの町に本部を置く大型の商会で表向きには日用品や魔道具関連を取り扱っている
実際は裏稼業として奴隷娼館や金貸し業を生業とするお金のためなら何でもするような悪徳商会だ」
その話を聞きなんて酷いことをするのかしらと感じながら説明を聞いているとどうやら最近噂の明日香商店に脅威を感じたサウザンド商会が明日香商店の許可申請を妨害することにより無理やりサウザンド商会が店舗ごと買収し自らの利益にしようとしているのではないかとのことだった。
お金のためなら何でもするような商会とのことだったのであながち間違いではないなと思っているとある言葉にひっかかった
「裏稼業として奴隷娼館や金貸し業を生業とする」
それってもしかしてこの国では見かけない私と性奴隷として非常に人気がある獣人族を狙っているのではないかと
そうなるとあくまで営業許可に対して圧力をかけたのは表向きの話であって私とあんずちゃんを拘束すればお店やノウハウも手に入るし奴隷としても稼げる2度おいしい状態に目をつけたのではないか
そう考えているとアナスタシアさんが口を開いた
「市としては最初断ったんですが孤児院がどうなってもいいのかと脅されまして・・・
違法行為ではあるんですがサウザンド商会は貴族も取り込んでいるという噂があるので下手に領主様に報告ができない状態で・・・」
困り果てた様子でそう告げるとシャルさんが口を開いた
「この件は市長の耳にも入っているのか?」
「勿論報告しています。
ですが市長は孤児院の支援に力を入れているのでサウザンド商会の申し入れを無視して孤児院に被害が出た場合それは間違いなく失脚していしまいます。
なので市長としてもサウザンド商会の要求を飲まざるを得なかったみたいです」
「なら俺にちょっと伝手がある
この件一度預かってもいいだろうか?」
シャルさんがそう言うとアナスタシアさんは
「駄目です!市民の方を巻き込むわけには行きません!」
すると商人ギルドマスターは
「いやシャルに任せたほうがいいだろう
これはいろいろな意味で市としての業務から逸脱している
こうなってくると最早領主や王国にこの件を引き継いだほうがいい
そのことはアナスタシアが一番わかっているだろ?」
「ですが一般市民や冒険者の嘆願を聞いてくれる保証もありません
だったら最初から市長にこの件を預けて領主に報告したほうが一番早いです!」
「その市長と領主バハムート伯爵に伝手があると言ったらどうする?」
シャルがそんな偉い人達と伝手があるなんて聞いていない
そう思っていると
「それは・・・」
「バハムート伯爵現当主に貸しがあってな
この件を俺に一度預からせてくれ」
シャルさんがそう強く言うとギルドマスターがアナスタシアさんを連れ席を外した
少しして戻ってきたアナスタシアさんたちは
「わかりました
そういうことであればこの件をシャルさんに一任します。」
「ありがとう
女神レティスリール様に誓ってこの件を責任持って始末する
悪いが少し出かけてくる
なにかあったら俺を呼べ
すぐ駆けつけるから」
そういうとアナスタシアさんたちを連れ店を出た
さり際ギルドマスターが「もしサウザンド商会が訪れてもそんな話は聞いていないと白を切れ」
と助言をしてくれた
3人を見送った後30分遅れで開店すると一斉に店舗に人が流れ込みまた明日香商店の1日が始まったかのように思えた
そうこの時までは
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明日香の店を出て話をしながら市役所に向かっていると
「まさかシャルさんがヴィルヘルム王国の第一王子だったとは・・・
先程は大変失礼いたしました。」
アナスタシアが謝罪すると
「別に気にしていない
あの場で俺が王族であることをバラすわけにもいかないしな」
そう告げ急ぎ足で市長の元へ訪ねた
ドアを開け市長が座る椅子へ行くと市長も俺のことに気づいたのか立ち上がる
「お前正気なのか!?
お前の立場が失脚するリスクを負ってでもこの件は拒否すべきではなかったのか!」
「俺だって拒否したかったさ!!
だがあいつら俺になんて脅してきたと思う!
孤児院の関係者全員を性奴隷にすると脅しをかけてきたんだぞ!!
俺の立場が失脚するのは構わない
だがなんの罪もない孤児院の子どもたちを借金返済という名目で全員性奴隷にするなんて言われたらそりゃあ要求を飲まざるをえないだろ!!
それはシャルが一番わかっているはずだ!!」
「お前それは本当なのか・・・?」
そう聞くと
「あぁ
俺の命をかけて誓うさ全て事実だと
俺はいったいどうすればいいんだよ・・・
こんな報告どうあがいても絶望の結果になることは目に見えているよ・・・」
そう嘆いている市長に俺の見解を聞かせた
「これはあくまで俺の見解だし確実とは言い切れないが少し聞いてほしい
恐らくあいつらの狙いは明日香商店と明日香自身そして先日保護した獣人族の少女だ
もっとも明日香はそのことに気づいていたようだがな」
そうサウザンド商会の狙いは実のところ裏稼業が好調である以上明日香商店なんてどうでもいいのだ
だがその状況はある時期を堺に一変し最近噂の明日香商店のノウハウや仕入先を吐かせ独占的に明日香商店の金額以上の価格で販売することによってサウザンド商会の勢いが増す
たとえ仕入先を吐かなかった場合容姿が綺麗な明日香と性奴隷として非常に人気の獣人族ましてやその中でも人気の猫耳だ
それだけでも明日香商店の価値は何十倍にも膨れ上がる
むしろ店舗自体よりも価値があるといっても過言ではない状況なのだ
「奴らの狙いはそっちだったのか・・・
俺はてっきり俺の地位を失脚させその後釜にサウザンド商会の息がかかった人間を市長に就任させることによって奴らの都合のいいような政策をするとおもっていたのだが・・・」
「それもある意味目的の一部として含まれているだろう
だが本命はそっちではない
俺は今からバハムート伯爵に面会しに行くがお前もくるか?」
そう問うと
「勿論行くさ
お前が俺等の味方をしてくれるなら心強い」
「なら行くぞ 空間移動」
スキルを発動し終えるとそこはバハムート伯爵現当主テオドール・バハムートの執務室だ
「おや?王位継承権を譲ったシャル第一王子じゃないか
そのお前がわざわざ俺に会いに来たってことは明日は大嵐にでもなるんじゃないかな」
そう笑いながら皮肉を言う彼は所謂腐れ縁というやつで小さい頃からの友人そして王立アカデミーで首席を争ったライバルでもある
「うるせぇよ
俺だって好きでこんなとこに来ねえよ
王位継承権だって嫌で蹴ったんだからな」
「わかっているさ
お前冒険者に憧れていたからな
所でリムゴーラ市長もいるってことは何か厄介事か?」
こいつは俺と首席を争っただけあって頭の回転速度が早い
なにかを察したようで応接室へと通され経緯を説明することになった
「相変わらず察しが良いな
お前の予想通り厄介事だ」
「おふざけはここまでにして話を聞こうではないか冒険者シャルロ君」
「その時点でふざけているよな?
まぁいい
明日香商店って知っているか?」
そう聞くと
「あぁ知ってるよ
何やら珍しい日用品や魔道具を扱っていてそれも質もとびきりいい今話題の有名店じゃないか
そのお店がなにかやらかしたのか?」
「明日香商店がやらかしたわけではない何ならその明日香商店の手伝いをしているからな」
「ほぅ・・・
お前がわざわざ商店の手伝いをするってことはお前・・・
その店主に惚れたんだろw」
相変わらず真面目な話だというのにふざけっぱなりのテオに対して無言の圧力をかけると
「いや冗談だからその目止めてくんない?」
「まぁ惚れたのは事実だがな・・・
んで話を戻すと実はサウザンド商会が明日香商店に対して営業許可を認めないよう圧力をかけてきた
それも市長を脅して孤児院の関係者を借金のかたとして全員売り飛ばすと脅迫をしてきてまでな」
そう言うと真面目な顔に戻ったテオが一言
「そりゃあ穏やかじゃないな」
コメントそれだけかと思ったが敢えて突っ込まず話を進める
「だが俺の推測では本命は明日香商店や孤児院ではなく明日香商店の店主やその店主が保護した猫耳の獣人族が真の狙いではないかと睨んでいる
異国出身の店主と獣人族の中でもとびきり人気のある猫耳となるとそれだけで明日香商店の時価総額の何十倍もの金が動くからな」
「確かにその話を聞く限りではお前の推測のほうが本命の可能性が高いな
で?
この俺に何をしてほしいんだ?
今なら白金貨10枚でこの俺様が承るぞ」
「これ以上ふざけるならお前の館を消し飛ばすぞ」
殺気を込めて言うと笑い飛ばしながら冗談だと言ってきた
冗談を言っていられるほど余裕がないんだがな
「まぁお前の目的はあれだろ?
サウザンド商会の営業許可の強制失効と幹部の身柄拘束に明日香商店の身辺警護だろ?
俺は領兵を動かしても構わんがサウザンド商会を潰すとなると王国内で会議をしないとしけないと思うが?」
「それについては安心してほしい
父上にこの件を念話で報告した際処分は俺とお前に委ねると言われた
勿論生温い処分で済ますなよとも忠告されたがな」
実は市役所に向かっている途中自体を重く受け取った俺は王である父上に念話で報告
元々サウザンド商会の悪事があまりにも多く擁護や穏便にすますという考えがないことから徹底的にやって構わないと父からのお達しがでたのである
「なら先程の件で対応で問題ないか?」
「俺は問題ないがあとはお前が好きにしろ
勿論生温いことをしたら承知しないがな」
そう言っていると緊急の知らせを受け取った
それも明日香商店からの緊急の知らせだ
「明日香!!!!!!!!!」
ガタっと立ち上がりすぐさま空間移動を発動
それと同時にその場にいたテオや市長が急いで行動に移っった




