番外編 お互いの気持 シャルさん視点
シャルロット・ヴィルヘルムそれが俺の本当の名前だ
レティスリール大陸最大の王国ヴィルヘルム王国の第一王子の身分を持っているが小さい頃から冒険者を夢見ていた。
それは王族にとって絶対に叶うことのない願望で当然父上からも怒られた。
元々王という肩書に興味がなく王位継承権も弟に譲ったことにより比較的自由になることができた。
ある日こっそりと外出しているのがバレてしまい父上に咎められているとつい言い返してしまった。
今まで父上と喧嘩などしたことのない俺にとって初めての気持ちで少し気まずかったが父上は自身のことを語ってくれた。
「やれやれ・・・・
私に似てほしくないとこまで似てしまったな」
「あらいいじゃないですか」
母上がニコニコと父上のことを微笑んでいると
「実はな私もシャルロットの年齢の時にな冒険者を夢見ていた
だが先代の王は私以上に厳しくて冒険者になることは愚か一人っ子だったから王位継承権を譲ることもできなかった
王位を弟に譲った今シャルロットにとって見聞を広めるいい機会かもしれんな
私の分まで旅に出ると良い
そして旅に満足したら再びここに戻ってきなさい」
父上は王としてではなく俺の父として見送ってくれることになった。
その後王子だということがバレないよう変装魔法で正体を隠しつつ冒険者として旅に出ることになった。
最初の頃は王宮で暮らしていたこともあり想像とは裏腹にかなり大変な思いをしたがそれも1年が過ぎた頃には既に慣れていた。
ある日次の依頼先に向かう途中に物資の補給として立ち寄ったリムゴーラ市の市場街で買い出しをしているとこの国では見かけない顔立ちの異国の女性がいた
その女性はどこか疲れた顔をしていたが雰囲気は俺好みで接客中に見せてくれた笑顔はとても可愛らしかった。
見たこともない日用品を一生懸命実演しながら販売する彼女を見て依頼が終わったらこの町を拠点にするのも悪くないと思いながらマッチを購入し店を後にした。
その後その日のうちに無事依頼を達成しリムゴーラ市の宿で暮らし依頼をこなしながら彼女の店に通う毎日を続けていると近くの森で魔物が大量発生し討伐してほしいという依頼があった。
依頼を受託し同じ依頼を受託した者同士でパーティを組みながら討伐を進めていると獣人族の少女がひどい怪我を負った状態で倒れているのを発見した。
急いで少女の容態を確認すると致命傷ではないがこのまま放置していると命に関わることがわかり急遽パーティを離脱しリムゴーラ市の病院まで急いだが間に合わなかった。
それならと思い孤児院を巡ったがどこも受け入れてもらえず途方にくれていた。
大体はこうなることを予想していたがなにもすることができないこの状況に嫌気が差していた。
王都では国を上げて孤児院の支援を行っているが地方都市では商会が借金の返済のために子どもを奴隷にする反吐がでるなうなことをする腐った商会が多くどこも商会に逆らえない
いっそのこと自分が王族であることを名乗り保護してもらおうかと考えた時彼女の事を思い出した。
見たことのない日用品や魔道具と思われるものを数多く販売する彼女なら少女を助けられるのではないかと
そう思い彼女のお店に行ったが明かりは点いておらず人の気配もなかった。
もう既に寝てしまったか家が別の場所にあるのかと思い諦めかけていた時彼女が帰ってきた。
事情を説明し中に入れてもらうと彼女のベットに少女を寝かせた。
ポーションも治癒魔法も効かないということは空間属性又は闇属性の呪の効果が付与されているというこを知っている俺はダメ元でなんとかならないかと聞くとあっさり少女の怪我を治癒した。
驚きながら彼女を見ていると彼女は獣人族の少女に話を聞いていた。
あの森にいた理由は獣人族の中で珍しい魔法に対する適正を持つという理由だけで村を追放されたという話が少女の口から出てきた。
こんな幼い子どもを追放するなんてなんて腐ってると思いつつよく奴隷商人に捕まらなかったなと思っていると彼女が獣人族の少女を育てるといい始めたのだ。
この国では18歳から成人とみなされ結婚し子どもを出産するのが平均で22歳と考えると彼女はどうみても早すぎる
それに彼女の店は人手不足なのにも関わらずいついっても長蛇の列ができている
そんな中で子育てなんてできるわけがないと思い俺は反対した。
だが彼女は同じ境遇で育ってきたのか絶対に私が育てるといわんばかりに獣人族の少女「あんず」を抱きしめた。
「自分も同じ思いをしてきたけども女神様や周りの人に助けられた
なのにこの子を助けないのは女神様や周りの人に顔向けできない」
その言葉が俺自身の心に響いた。
彼女に対し元々好意を抱いていたがそれは恋愛的な感情でなかったがいつしか恋愛的な感情を持っていた俺は護衛という名目でこの家に住むことを告げた。
成人したてでただの常連という立場から考えると断られるのが関の山だと思っていたが彼女は嫌な顔をせず了承してくれた。
「好きでもない女の人と住むのって嫌じゃないんですか?」ということだけは聞かれたが嫌なものか
俺は明日香の事を嫌だとはおもったことはない
寧ろ隣にいたいぐらいだと思っていた。
早速宿に戻りチェックアウトをし荷物を空間収納に放り込み彼女の家に戻り荷物を取り出していると彼女も空間収納が使えるということを言われた
それも最初から持っていると・・・・
最初から持っているとなると確率は1%にも満たない
大抵は成長すると同時にレアスキルとして獲得するかダンジョンの宝箱から入手するか金貨30枚を支払って魔導書店で購入するかのいずれかだ
本人は魔法らしい魔法なんてなにひとつ持っていないと嘆いていたが空間収納や高位の聖属性魔法が使える時点で王都の教会にいる最高位の神官長ですら彼女の足元にも及ばない
「もしかして彼女は伝説上の話である女神様の祝福を所持いているのではないだろうか・・・・」
そう考えていると彼女から今日はベットがないから宿で寝てほしいと言われた。
だがこの家にはソファがあり十分寝れそうだったので今夜はソファで寝ることにした。
次の日リムゴーラ市長と王子として面会し明日香商店に住むことと彼女のお店で獣人族の少女を保護しているという話をした。
リムゴーラ市長とは子どもの頃から何度も会っておりお互い本音で語り合えるような仲なのだが市長には明日香に対し好意を抱いていることがバレていた。
そして彼女と獣人族の少女を必ず守れと言われた
「勿論守りますよ
ヴィルヘルム王国そして女神レティスリール様の名に誓って」
そう言うと市長はよろしく頼んだと返事をし市役所を後にした。
市役所から戻り相変わらず外にまで行列ができている明日香商店の中に入ると店舗スペースに明日香の姿がなかった。
明日香が雇っている従業員に聞くと居住スペースに行ったと聞いたので休憩でもしているのかと思うとベットを見たことのない包装から取り出そうとしていた。
店舗がかなり混雑していることを告げ代わりに設置することを伝えると明日香は急いで店舗に向かっていった。
箱にはアネゾンベーシックと書かれていてこれがなんの意味を表すのかはわからなかったがどうやら組み立て式のベットらしい
それも王宮のベット以上に品質の良さそうなベットで彼女は一体何者なのか考えながら組み立てているとあっというまに組み立て終わった。
体感では1時間もしていないように思えたが実際には19時30分頃で3時間ほど経過していたようだ
お店は18時までで閉店作業に買い出しと忙しそうにする彼女を見ているとご飯が出来上がった
それはどれも見たことのない料理でこの白い粒粒と見た目がアレなスープがあった
どれもおいしく夢中で食べていると少女が温かいご飯初めてといっていたことにびっくりした。
それを聞いた彼女は小声で
「絶対に幸せにするからね」
と言っていたのを聞き逃さなかった。
全く・・・
どこまで彼女を好きにさせるんだよ・・・・




