警備員を雇おう!!
明日香商会本店の開店から1か月ぐらいが経過した。
相変わらず混雑するが開店当初ほどの殺人的な量ではなく比較的まったりとした時間が流れていた。
明日香自身も品出しやレジ打ちの他にもお店の売り上げを確認したりあんずちゃんと一緒にのんびりしたりすることができるようになり割と充実した毎日を過ごしていた。
このままこの流れが続けばいいなーと考えていたがトラブルというのは空気を読むことなく次々とやってくる。
それはある閉店後の売り上げ確認であった
「あれ?この商品データでは437個しか売れてないはずなのに売り場には1つも商品がない・・・・」
明日香商会設立に伴い今まで以上に商品の在庫管理が必要になったので明日香はPOSシステムを導入し日々の売り上げデータは事務所にあるパソコンに出力されるように設定しておりそこに示されたデータをもとに商品の仕入れを行っているが不思議なことに最近そのデータが誤差という範囲を超えたレベルで出力されており実際に売り場には実際には残っているはずの商品が1つもないということが毎日のように発生していた。
高額な商品や人気の高い商品は防犯のため防犯シールを張っており万引きが発生した際には騎士団に引き渡してはいるが今回ターゲットになった商品はどれもその防犯シールを貼っていないものを中心になくなっているのだ。
状況的に万引き以外考えられないのだがそれでも不可解な点があり仮に万引きをするにしても1人が万引きできる量ではないのだ
というのも商品自体がそこそこ大きく且つ大量でこれを1人で万引きしようものなら「どうぞ捕まえてください」と言っているようなレベルなのである
仮に従業員が万引きに気づかなかったとしてもそれがほぼ毎日というのは考えられない
それだけの量を一度に万引きされているのだから何かしらの対策が急務である
全ての作業が終わり居住スペースに戻りシャルさんに万引きの件を聞くがシャルさんもそんな人を見ていないらしい
「そんなに毎日窃盗が発生しているなら警備員でも雇えばいいんじゃないかな?」
「募集はしているんだけど人が来ないんだよね・・・」
それを聞いたシャルは頭に「?」が浮かんだ
明日香商会は今やバハムート伯爵領のみならず王都にもその名を轟かす大規模商会なのですぐに人が集まる
なのに人が集まらないとは何故なのかと思ったのだ
「明日香・・・ちょっと聞くがちゃんと募集しているんだよね・・・?」
「うん・・・お店とギルドの方にも求人出してる」
「どこのギルド?」
「商人ギルドだよ?」
明日香がそう答えるとシャルは飲んでいたお茶を噴出した。
「明日香・・・それどう頑張っても集まらないよ・・・」
「え?そうなの?
従業員募集だし商人ギルドを通さないとって思ったけど・・・」
「逆に聞くけど商人ギルドにそういう募集に食いつく人いると思う?」
「・・・・・・
あーー!!」
「あーー!!じゃないよw」
本来警備や護衛という役割は冒険者ギルドが扱う案件で商人ギルドは従業員の募集や店舗に関する手続きを行う場所だということはこの国の人間ならだれでも知っている
だが明日香はこの国の人間ではない
よくよく考えれば日本でもお店が警備員を募集している光景は見かけないのだが・・・・
シャルはどこか不安を覚えたので明日付き合うことを言い明日香からも了承をもらったのでついていくことにした
「明日香ってどこか抜けているんだよな・・・・」
そう思いながらお茶を飲み干すのであった
次の日シャルと明日香とあんずの3人で街の少し外れたとこにある冒険者ギルド兼酒場に足を運んだ
ドアを開けた瞬間ガラの悪い連中が大勢いるという異世界物のお決まりのパターンを期待していたがそういうこともなく綺麗で清潔な空間に活力みなぎる冒険者が大勢いた
私を見て噂をするものが多くいたがその噂は「商会の人間が何で冒険者ギルドに?」という内容や「シャルさんが明日香商会に住んでいるって話本当だったんだな」という話が大半であった。
気にせずギルドの受付に向かうと愛想のよさそうなお姉さんが案内してくれた。
「人を雇いたいんですけど・・・」
私がそう言うと
「護衛ですか?それとも討伐や調達ですか?」
「護衛というか警備員を雇いたいんですけど・・・・」
「ではあちらの題でこちらの紙に記入をお願いします。」
そう言われ渡された紙を受け取り必要事項を記入した。
「人数は16人で報酬は金貨1枚で福利厚生は・・・」
必要事項を全て埋め受付に提出すると
「こちらは1パーティーで金貨1枚ということですか・・・?
それともAランクの冒険者を雇うということですか・・・?」
「いえ1人あたりです
ランクは中間あたりを・・・」
そう言うと
「え?それC~Dのランクで1人当たりの報酬なのか?」
シャルさんがびっくりした顔でこちらに聞いてきた
「うん・・・安いならもっと出すけど・・・」
そう言うと
「あの・・・相場よりもかなり高いので少し下がりませんか・・・
ギルド的にもかなりまずいので・・・」
「一か月で1人金貨1枚なら妥当だと思うんですけど・・・」
「いや一か月だとしてもC~Dランクの相場は銀貨25枚だからな?」
「そうなの・・・・
でも私別に金貨1枚でも別にいいよ・・・?」
「大変申し訳ございませんが金貨1枚でC~Dランクを雇うのであればお受けすることはできません・・・」
「え・・・」
「あのなー・・・
金額を少ないとそもそも受ける人はいないけど高すぎても相場が崩壊する原因になるんだからな・・・?
そもそも騎士団ですらそんな金額もらってないぞ?」
この世界の一般的では騎士団で月銀貨20枚で冒険者となるとSランクで金貨5枚Aランクで金貨1枚Bランクで銀貨50枚あたりが大体の平均月収だ
この相場に当てはめると明日香が出す給料はAランク相当でそれも貴族が乗った馬車を護衛するレベルの報酬だ
こんな高額の報酬はいくら出すといっても相場が崩れかねない事態にまで発展する恐れがあるギルドとしてはそれは防がなければいけない
だが明日香は朝2の鐘から夜3の鐘まで警備をするとなるとそれぐらいの報酬は妥当だと思っていた。
「でも相場と同額を出して変な人が来られても困りますしそれに朝2の鐘から夜3の鐘までなので妥当だと思うんですけど・・・」
実際問題明日香にはサウザンド商会の件があり高く払ってでもきちんとした人材が欲しいという思惑がありこれだけはどうしても譲れなかった
「事情はわかりますが当ギルドの規定で相場より大きくかけ離れた依頼は受領拒否する決まりなので・・・
それに待遇も含めると月1人あたり金貨2枚相当はあまりにもかけ離れているので・・・
きちんと見極めてご紹介しますので相場と同じくらいの価格にしていただけませんか・・・?」
「仮に待遇なしだったら受領していただけますか?」
「それでも高すぎるのでお受けできませんね・・・」
明日香は暫く考えて
「ではDランク以上であれば1人あたり銀貨60枚で雇います
それ以上下げるのは仕事内容的にも釣り合わないので無理です。」
「上の物に確認しますので少々お待ちください・・・」
受付のお姉さんはそういい席を離れた
「明日香・・・それでも高いよ・・・
多分40枚くらいまで下げないと受領してくれないと思うよ・・・?」
「サウザンド商会の件もありますし仕事内容が14時間の警備と夜間の警備や命の危険を鑑みれば妥当だと思うんですけどね・・・
なるべく多くの人材を長期的に雇いたいのでその為ならいくらでも出しますよ!
それにシャルさんがいつまた旅に出てもいいようにしたいので・・・」
「そうか・・・」
その会話をして20分後に受付のお姉さんが戻ってきた
「お待たせしました・・・
受領するのは本来でしたら難しいのですがギルドマスターに相談したところ状況を鑑みてお受けすることとなりましたのでこのまま手続きを進めさせていただきます。」
「ありがとうございます!」
無事に受領してくれることとなったので受付のお姉さんにお礼を言い手続きを進めてもらい冒険者ギルドを後にした
その3日後冒険者ギルドが選抜した冒険者16人と顔合わせをするのであった。




