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番外編 お見通しの父上とアシュレイさん

番外編です

これは約2週間前の話である

明日香商店はサウザンド商会から受けた営業妨害と人権侵害に名誉棄損で訴えを起こし多額の賠償金を勝ち取りそのお金で現店舗の改装と2号店のオープン準備をしていた。

最初こそ順調に進んでいたが責任者の任命という壁にぶつかっており明日香を一番悩ませる問題となっていた。

更に問題だったのが商会開業届に対する王宮会議である

俺は王族であり王国の法律も幼少期から叩き込まれている故に商会開業届に関する法律も知っていた

通常であれば一定の資産があることと直近10年間にもわたって詐欺や汚職といった商会を立ち上げるうえで重大な欠落事由がないこと等多数の条件をクリアする必要がある

今回の場合明日香自身が一度奴隷堕ちしたという点で審査に多大な影響を受けており審査通過を見送るという結果が出ていた。

だがそこに王族の特権を行使し明日香商店の商会開業届を強制的に通過させ他の貴族や商人ギルド統括部長から批判が殺到したが父上が俺の特権を承認したことでその声もなくなっていた。

一部の貴族はそれでも批判をし父上に俺が行使した特権を否決するよう嘆願していたがそちらも棄却されこれ以上は不敬罪にするぞと釘を刺されたことでそちらの声もなくなった

元よりその貴族たちはサウザンド商会の一件で無実の奴隷であることを知りながら購入していた貴族たちなので最初から聞き入れられるわけがないのだがつくづく己の利害しか考えられない者だなと呆れながら事後処理を進めていた。

その後サウザンド商会の一件の後処理や溜まった書類の山に目を通していると既に夜9時を回っており帰り支度をして明日香の家に帰ろうとすると父上が執務室に入ってきた。

「シャルロよ少し話がしたい」

「わかりました父上」

そう返事を返すとにっこりと微笑み応接スペースへ互いに座った

「単刀直入に聞こう

シャルロお前は明日香殿のことをどう考えているのか?」

「どう考えているとはどういう意味でしょうか?」

そう聞くと

「お前はもう既に婚約をしていてもおかしくない年齢だ

故に多方面から縁談の話も来ているしそろそろ相手を見つけてもらわなければ他の貴族の反発が起きる

私としてはお前には私と同じように身分を気にせず本気で好きになったものと結婚して欲しいし国民もそう望んでいる

だがお前にはその気配も見られない」

そう答える父上に俺は

「思い人はいますよ

それも父上が思っているように明日香です。

ですが身分が違いすぎるし俺も明日香も王族という肩書は互いに苦しめるだけになるのではないかと考えています。

それに俺が王族だということも明日香達には伝えていませんし伴侶として迎え入れるのは難しいのではないかと考えています」

俺は確かに明日香のことが好きだ

何事にもまっすぐで熱心に取り組んで常にお客さんや従業員そして家族を優先している姿その全てが好きだ

だが王族である以上それなりの身分をもった人間と婚約をしなくてはいけないし仮に一般市民と婚約をするにしても相手が王族だと知ってしまえばその人にとって大きな足枷を俺自身がつけてしまうのではないかと

「相変わらず不器用な上に似てほしくないところまで似てきたな・・・

とある昔話があるのだが聞いてくれないか?

昔の王族に貴族との縁談を蹴って市民と結婚をした者がいてその父上は怒るどころか迎え入れてくれた

その後幸せな家庭を築きあげ子宝にも恵まれた。

その王族もお前と同じ悩みを持っていて距離を置こうと考えたが最終的には告白した

それが現国王の私とお前の祖父の昔話だ

確かに王族という肩書はそのものに大きな足枷となるかもしれないが意外とそういう人物は気にしなかったりする

寧ろ貴族のご令嬢やら商会の令嬢といった者は地位を求めて縁談を持ってくるものが多い

私自身はそんな物よりも本気で好きになった相手と結婚をすればいいと思うぞ

先代がそうしたように私自身も市民と結婚をすることを止めるつもりはない

そのことを十分に考えた上で婚約者を探しなさい

それまでは私がなんとかするがあまりにも遅いと勝手に縁談を進めてしまうからな」

そう言うと父上はドアを退出しようとした

「そうそう

明日香商会のことだが近々ベルティ商会のアシュレイ副会長が退任するという話があった

アシュレイなら明日香商会のいい人材にもなるし他の商会の牽制にもなると思うぞ

なんせベルティ商会はこの国一番の商会であると同時に我々王国が関わる商会だからな」

バタンと扉が閉じ父上が退出したことを確認した後空間移動で明日香の家へと帰った

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王国と明日香の家を往復する日々を送っていたある日たまたまアシュレイとばったり会った。

「よぉ!アシュレイ副会長元気かい?」

「シャルこそ最近トラブルに巻き込まれたらしいが大丈夫かい?」

「俺は大丈夫だがかなり面倒だったよ・・・・」

そう言うとアシュレイは近くの喫茶店に行かないかと提案されそこで久々に近況報告をしあった

ある程度最近王都で流行っているコーヒーというものを楽しみつつ頃合いになったころにアシュレイに父上から聞いた噂を本人に尋ねた。

「まだ正式に決まったわけじゃないが確かに辞表を提出したぞ

やっぱり俺には副商会長という肩書は似合わなくてな」

アシュレイは笑いながらコーヒーカップに口をつけた

「で?お前が俺にそれを聞くってことはどういう意図があるのかい?」

「それを聞くってことは大体のことは察しがついているだろうに・・・」

「お前の父上から聞いたぞ

明日香商会の立ち上げに協力してほしいってな」

「やっぱり父上ここまで根回ししてたか・・・」

そう言うと

「これはベルティ商会の副会長としての話だが俺としてはお前の父上の提案には応じるつもりでいる

だが後は明日香商会がどう判断するかだな

俺が採用されようがされなかろうがベルティ商会は業務提携する話は出ている

あの件があった以上王国随一の商会が業務提携やら副会長の肩書を持つものが応募したら罠を疑うのが普通だ

俺をどうしても明日香商会の一因になってほしいのであればお前の本当の身分を明かしてでも説得することだな」

そう言うとアシュレイは立ち上がり喫茶店を後にしていった

「会計たまには払えよ・・・」

アシュレイは乗り気であることはわかったが手元には銀貨16枚の伝票がのこり渋々2人分会計するシャルであった

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