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病院へ

奴隷オークション会場の捜索や事後処理を終え再び冒険者シャルとして変装し王立ヴィルヘルム病院の特別室へと行くと領兵が厳重警備を敷いていた。

領兵に入る旨を伝え中に入ると明日香とあんずがベッドで横になっていた。

その隣には医師と王宮魔法師団がおり何やら深刻な顔で相談をしている

「何かあったのか?」

そう聞くと

「淫紋の解呪と傷の処置は完了したのですがこの枷をどう外そうかと悩んでいまして・・・」

「あぁこの枷か・・・

念の為現場にあった鍵の束を持ってきて入る」

そう言いながら鍵の束を渡し1つ1つ確認するが残念ながら該当する鍵は見つからなかった。

となると思い当たることはひとつ

この枷自体が魔道具で起動・解除するには専用の魔道具が必要だということ

ただそれと同時に懸念点もあった

通常奴隷用の枷は外すという概念がない

それもそのはずでヴィルヘルム王国の法律では通常奴隷堕ちするのは重大な犯罪及び前科が複数ある者や借金などのかたで売り飛ばされる借金奴隷・そして自ら奴隷堕ちを希望した者のいずれかを満たす必要がありこれを満たしている場合市民権を喪失する

つまりこれを意味することは一度奴隷堕ちした場合市民権が復活することがない故一時的な枷でない限り取り外しを考慮する必要性がないということだ

そして潜入調査をした限りではほぼ全ての奴隷が出品前に枷を付け替えていたのでほぼ間違いなく正式な枷だ

「まいったな・・・

この枷がある限り奴隷堕ちした人間という扱いになり間違いなく一般市民とはかけ離れた待遇になる

本当にとんでもないことをしでかしてくれたな・・・」

そう思うの当然な話で主人がいない奴隷は調査の上脱走した奴隷ということが判明した場合主人に戻されるか再度奴隷オークションに出品されるか強姦され殺されるかのいずれかを辿ることになる

いくら俺が王族の人間だとしても流石に奴隷となると話は別であり法律を満たしていないことが明確である場合に限り犯罪奴隷以外の奴隷を解放できる

そしてそれを行使したのは王国ができて50年の歴史上今回が初めてなので前例がない

どう考ても今どうにかすることはできないので当面の間ここに明日香達を入院させサウザンド商会長の自白を待つしかないという結論に至った

そうこの時までは


明日香に当面の間休みこととお店は俺と従業員たちでなんとかすることを告げ王宮に戻ることにした

当然公衆の面前で変装魔法を解除したらとんでもないことになるので暗部の者を護衛として呼び王宮へ戻ろうとしているととある雑貨屋前でなにやらトラブルが起きているのをたまたま見かけた。

なにが起きたのか周りの人に話を聞くとどうやら店主と錬金術師を名乗る者が買取価格で口論になっているとのことだった

それを聞き仲裁に入りお互いの言い分を聞くと雑貨屋の店主は最近売れなくなったので買取価格を一方的に7割も減額しようとしたということと錬金術師を名乗る者は契約時に1年間の買取保証を約束したので違約金を払うか約束した金額を払うかどちらかを選ぶように迫ったが聞き入れてもらえず口論になったとのことだった。

同時に錬金術師側からは双方の間で結んだ契約書を取り出しそれが正規の者であることを双方が認めていた。

たまたま近くを通った衛兵を交え話し合いをしたが結局双方が納得いく落ちどころがなく途方に暮れ始めていたところとある妙案を思いつく

説得ついでに交渉をしようと思い近くのカフェで名を名乗ったうえで交渉をすることにした

最初錬金術師を名乗る者は俺が王族であることにびっくりしていたが特に敬語は不要だということを伝えた上で話し合いをすることにした。

「それでお願いというのはなんですか?

折れろというのであればいくら王族であっても無理ですよ」

「いや違う

錬金術師殿にお願いしたいのはこれとは全くの別件で奴隷の枷を強制的に外す魔道具を調合して欲しい

勿論礼は王宮より支払いをする」

無理難題を言っていることは重々承知の上で依頼を引き受けてくれないか交渉をしてみると以外にも設備があればすぐできるということを言われた。

但しどのような物なのかによって調合するのに必要な材料が変わるので一度見せてほしいと言われ病院へと向かった。

ドアをノックすると衛兵がドアを開けたので中へ入ると疲れ切ったのか明日香達は寝ていた

起こさないように問題の枷を見るように伝えると錬金術師は枷に手をかざした

枷の周りが一度明るくなりまた明かりが消えると

「この枷は一般の人からすれば確かに厄介ですがこの枷なら丁度先程の雑貨屋に卸そうとしていたポーションの効果を少し変えればいいだけなのでこの場でなんとかできますよ?」

錬金術師はそういうとポーションを片手に何やら不思議な踊りをするとポーションが全くの別の物に変身した。

「このポーションを飲ませれば身に着けている枷を全て取り外せるはずです」

「わかった」

そう言い起こすのは申し訳なかったが一度明日香達を起こしポーションを飲むように促し飲ませると先程までどうにもならなかった枷が全て「パキンッ!」という音と共に解除された。

あんずにも同様の効果が出て枷が外れ3人で喜びあった。

「錬金術師殿本当にありがとう!」

「錬金術師さんありがとうございます!」

「ありがとう・・・錬金術師さん」

「いえいえ!あと申し遅れましたが私ユミアと言います!

ルイユ村で錬金術師をやっています」

「それでユミア殿に約束の報酬を渡さないといけないな・・・」

「私からも何かお礼をしたいので私に出来る範囲であればなんでもします!」

明日香と俺がそう告げるとユミアは

「でしたらこの魔道具を正規の値段で買い取っていただけるお店とアトリエが欲しいです・・・

シャルさんは先程の話を聞いていたのでわかると思いますがあのお店とはこれまでも無理な値下げ交渉とかが多くて契約期間が切れたら縁を切ろうと思っていたんです。

でも商会はどこもとりあってくれないしで凄く困ってて・・・」

「ユミアさん!その魔道具見してください!」

明日香がそう声をかけるとユミアは2種類の魔道具とポーションを差し出した。

ひとつは防犯に効果のある魔道具でもうひとつは所謂芳香剤だ

ポーションは普通の中位ポーションではあるが性能は上級ポーション並みの性能と効果がありそうだった

「ユミアさん!私リムゴーラ市で雑貨屋を営んでいるのですがよければ私のお店で販売してもいいでしょうか?」

明日香がそういうと

「単価はいくらですか?

通常であればそれぞれひとつ銅貨3枚のコストがかかっているのでそれ以上が必要です。

今のアトリエの家賃とかも考慮するのであれば一つ当たり6枚は欲しいです。」

「なら私の家空き部屋がまだまだあるのでそこに引っ越したらどうですか?

それなら私のお店で働いていただけるのであれば家賃も入りませんし魔道具の売上金も全てお渡しできると思います!」

「アトリエの件はわかりましたが売上金も全て渡すとはどういうことですか?」

「私明日香商店の店主をしている須藤明日香といいます。

自分のとこで仕入れている商品でやっていけているのでユミアさんが作った商品はそのままユミアさんの売上金としてお渡しします。

そこに労働力も貸していただければその分のお給料も別途で出します!

勿論あんな枷を嵌められていた人間なので無理にとはいえませんが・・・」

「明日香商店ですって!?

実はトラブルになっていたお店でも明日香商店が台頭してから売れなくなったとは聞いていたのですが・・・

というか何故そんな方があんな奴隷具を着けていたんですか!?」

「それについてはまたいつか話そう・・・

今は明日香の提案に対して答えを出してほしい・・・」

「その・・・本当に明日香商店の店主さんなんですよね・・・?」

「あぁ」

「はい」

「明日本当なのか言ってもいいですか?」

「明日は厳しいな・・・

なんせ淫文の処置が終わって無くてな・・・」

「淫文くらいなら私の治癒魔法でなんとかなりますよ?」

「へ?」

俺が驚いていると明日香は手を淫文がある場所へかざすと光始めた

光が落ち着いたので確認すると淫文がきれいさっぱりなくなっていた。

呆気に取られている3人を無視しあんずの淫文にも手をかざし解除すると同じくきれいさっぱり無くなっていた

「いやいやちょっと待て!

淫文はそれこそ王宮魔術師団でも4人がかりでないと解呪できないものだぞ!」

「私のスキルに女神さまの加護っていうものがあるのでそれを使えば万能なスキルを取得できるって女神さまが言ってました」

「!!!!」

「女神さまの加護は伝説上のスキルでレティスリール大陸のなかでも清き心を持っていて尚且つ女神さまが気に入らなければ取得することもできないスキルってことは知っているかい?」

「知らないです・・・

というかこのスキル私がここに来た時からありましたよ?」

そう言うとユミアは気絶しシャルさんは茫然としていた。

「私なにかまずいこと言った・・・?」

明日香は女神さまの加護が伝説級のレアスキルだということに気付くのはまだ先になりそうなのであった


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