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妖精として生きるつもりです。  作者: 納豆しらす
第一章 『始まり』
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第八話 『初恋』

今回の話に磨童とまどうの2つの文字があるのですが、誤字ではございませんのでご了承ください。

父さんが死んだ。


でも、涙が出なかった。


そして、気付けば異能が発現していた。


色々な事が1度に起きた為、俺は状況を理解出来ていなかった。


理解出来た事があるとすれば、これからこの家は今まで以上に静かになる事位だった。


母さんはあれ以降、あまり笑顔を見なくなった。


しかも、前以上に静かになった気がする。


これも、父さんが死んでしまった影響だろう。


俺は、父さんの死について、復讐する事を考えてはいなかった。


只、何処でどうやって誰に殺されたのかだけが気になっていた。


国に処刑されたと言っていた為、実際そうでは無くとも、それっぽく隠蔽するだろう。


その為、恐らく死体は残っていない。


墓を立てる事も出来ない。


でも、今の俺に出来る事はほとんど何も無い。


やったとしても、すぐに失敗して終わるだけだ。


それが、今の俺だ。


異世界人という事しか、この世界で特別な部分が無い。


学校にも通ってはいるが、やはり周りにそんな人がいるようには見えなかった。


俺は弱かった。



夜はすごく気まずかった。


ずっと話しているのは零斗れいとだけだった。


円香まどかはずっと食事してるし、母さんは零斗の話に少し頷いているだけだった。


勿論、俺は元々たくさん話す性格では無いので、母さんと反応がほとんど一緒だった。


しかも、父さんの事について、考え事をする時間も増えたので、他人と会話する時間は減っていた。


そして、食事を終えると、母さんが俺の元にやって来た。


そして、言う。


「辛い?」


正直、微妙だった。


辛くない訳じゃない。


父さんが死んだのは悲しいし、零斗達に負い目を感じているのも事実だ。


しかし、1度復讐を試みた側としては、自分が辛いのかよく分からなくなっていた。


母さんは続ける。


「もし辛いなら、明日にでも何処かに遊びに行ってみたら?」


母さんはクマのある目で言うのだ。


多分、寝ていない...いや、寝られないのだろう。


どうすれば、母さんを辛くさせずに済むか...


...でも、母さんは俺に辛い思いをして欲しくないと思っているんだろ?


...だったら、母さんの言う事に従うのが1番良いんじゃないのか?


俺は、決めた。


「分かったよ。母さん」


少し、母さんの作り笑顔が和らいだ気がした。



翌日、俺は近くの公園に行ってみる事にした。


なんだかんだ、父さんと行ったなぁ。


ここには父さんとよく来ていた。


そして、日が暮れるまで遊んでた。


...一応、父さんは変装してたけど。


そして、ベンチに座る。


俺は、空を見上げながら考え事をしていた。


「あの雲、クワガタみたいだなぁ」


それは、家で考えている事とは全然違ったが...


そして、頭を上げる。


すると、視界には人が見える。


3人くらい。


全員女子だ。


ちょっと会話を聞いてみよう。


「嫌よ!あなた面白くないし、楽しくないわ!」


「そうよ!身の程をわきまえなさい!人はね、美しくなければダメなの!」


そして、その2人の目線の先には座り込む女の子がいる。


「イジメ...か」


あの子は異能を持っていないのか...


可哀想に...


すると、その女の子は2人に置いてかれてしまった。


女の子は俯いている。


「...仕方ないな」


俺は、話しかける事にした。


歳は同じくらいだろう。


なら、遊んでも問題は無い。


決して、ロリコンという訳では無い。


そして、俺は声をかける。


「大丈夫?」


すると、女の子はこちらを見て、目を輝かせる。


女の子の顔が見える。


...え?


俺は驚いた。


美しくないと言われていたからもう少し地味だと思っていた。


でも、違った。


何なら、かなり綺麗だ。


しかも...


...え?...は!?なんで!?


その子を見た瞬間、俺の顔は赤くなっていた。


これが...一目惚れというやつか...


それを経験するのは初めてだった。


女の子は言う。


「一緒に遊ぼ?」


俺はその子に連れられるがままに公園の中央へと向かった。


そして、公園によくあるあの山のようなトンネルのようなものの上に登るのだ。


ちなみに、名前は知らない。


そして、女の子は口を開く。


「私、花園はなぞの 美玖みく。あなたの名前は?」


俺は、少し間を空けて、


磨童まどう黒川くろかわ 磨童」


と答えた。


しかし、ここで俺は名字を変えていなかった事に気付いた。


警戒が緩くなっていた。


この子には相手の警戒を緩くする力があるのだろうか。


只、いつも以上に警戒しないといけなくなってしまった。


しかし、彼女は気にした様子も無く、俺の手を引く。


「あれ、やろ?」


そうして、彼女はブランコを指差した。


俺は久しぶりにブランコに乗る事にした。


話をしていくと、彼女は俺と歳が同じという事が分かった。


やっぱり俺はロリコンじゃなかった!


...多分、恋をしたのは、精神が肉体に引っ張られているからだ。


前にも、説明したが、そのせいで今の俺は精神と肉体の境目が殆ど無い。


でも、特に問題は無い。


美玖は、楽しそうだ。


気付けばもう夕方だ。


俺は、帰る事にする。


すると、美玖に


「明日も遊ぼう!」


と誘われた。


俺は、明日もここに来ようと思った。


生憎、今は夏休みだ。


暇ならいくらでもある。


そして、俺は家へ帰るのだった。



そして、家に帰った後、俺は今日の事を話した。


たくさん話した。


すると、少しだけ、母さんに笑顔が戻った気がした。



この1週間、俺と美玖は公園で遊んでいた。


「じゃあ次、かくれんぼしよう?」


「いいよ」


美玖は最初より雰囲気が柔らかくなっていた。


俺はより引き込まれる。


多分、本当の美玖はこうなのだろう。


美玖は、毎日の様に笑顔だ。


「ホント?じゃあまーくんが鬼ね」


「まーくん?」


「うん!まどうの()でまーくん。だめ?」


「いや、いいけど...」


「ホント?やったー!」


まーくんというあだ名を付けられた。


...()()()()か。


なら...


「じゃあ僕もみーちゃんって呼んでいい?」


「いいよ」


お互いにあだ名で呼ぶ事にした。


そして、俺は改めてハッキリした。


俺は、みーちゃんが好きだ。


でも、俺はみーちゃんを父さんの代わりとしても見ていた。


多分それが、俺がみーちゃんを好きになった理由だろう。


俺はまだ何も失っていないのだろう。


この毎日が問題なく続く事を望んでいた。

今回の様に誤字では無い文字の使い方をするかもしれませんが、よろしくお願いします。

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