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妖精として生きるつもりです。  作者: 納豆しらす
第二章 『繋ぎ合わせるべき欠片』
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第二十四話 『The愛』

「愛を見せる?」


美玖は問う。


「ええ。あなたの愛はどんな形なのぉ?知りたいわぁ」


玲奈は恋の後ろから回り込んで指先の枝で攻撃を仕掛けようとする。


「それがあなたの愛ぃ?」


恋は両手でそれらを抑え込む。そのまま掴みあげ投げ飛ばす。


「うわぁっ!」


玲奈は建物に打ち付けられる。


「素敵ねぇ、でも少し歪んでるわぁ」


歪んでる⋯?


美玖は恋の言葉に疑問を感じる。その言葉を考えた一瞬の間に恋が詰め寄ってきた。


「⋯ぇ?」


美玖の気がついた頃には目の前に恋がいる。


まずい⋯!


美玖は体制を立て直そうとするが、体制を立て直すより先に攻撃を受ける。


美玖は避けきれず吹き飛ばされる。


「あっ⋯くぅっ⋯」


美玖は吹き飛ばされた衝撃で喘ぐ。しかし、立ち上がるより早く恋が動く。


「わっ⋯!!」


美玖は素早く転がってかわす。


「ほらぁ、立たないのぉ?次イっちゃうわよぉ?」


恋は手に何かを持っていた。


鞭⋯?

どこから取りだして⋯


「⋯って⋯わぁ!」


恋は鞭を素早く振るった。大分破壊力がある。


美玖はそれをかわそうとするが、避けきれず左肩をかすった。


「っ⋯!」


左肩に切り傷ができ、血が少し出る。


これが戦士⋯!

これで戦士のレベルなら、十剣って⋯


美玖はこの試験に十剣が1人いたことを思い出す。そして、その対戦相手は⋯


「黒田 磨童⋯」


「ん?」


恋は疑問を浮かべ不思議そうな顔で問う。


「どうしたのかしらぁ?⋯あ!まさか、その子は貴方の殿方の名前?」


「⋯え?」


美玖は言われたことに驚く。


「驚かないでぇ?そんな恋焦がれる顔で名前を呟くなんて⋯それはもう、殿方じゃなぁい。あれ?違った?あ、まさか貴方の好きな人とかぁ?」


美玖は言われた事に少し固まった。しかし、何かを思い立ったように口を開く。


「運命の人って、信じますか?」


「⋯ぇ?」


恋は驚きが隠せない。

そんな恋を無視して美玖は続ける。


「私は信じます。その人が1番だって、自分にとって大事なんだって、⋯この人となら何でも出来るって。そう信じさせてくれる人、守って欲しいし、守ってあげたい人」


美玖は顔を上げ、目を輝かせて言う。


「それが私の運命の人です」


美玖はそれを告げた後に少し顔を下げて言う。


「⋯運命なら、離れ離れになってもいつか再会できますよね?」


とても優しい顔でそう言った。


「運命ぃ?そうねぇ、良いわねぇ」


恋はそれに反応する。


「貴方はその人を信じてるのねぇ?ずっと⋯想ってるのねぇ?」


美玖は少したじろいで答える。


「⋯はい」


その目はとても真剣だった。


恋は嬉しそうに笑い出す。


「良いわぁ!それが貴方の”愛”ね?素敵じゃなぁい。私は好きよ?」


すると、背後から恋に何かが絡まった。


「枝ぁ?」


恋はそう言い、後ろを見る。

恋の背後には玲奈がいた。


「おらぁぁぁぁぁ!!」


玲奈は自分の全身の力を使い、恋を空へ投げ飛ばそうとする。恋は咄嗟の事に反応出来ず、そのまま投げ飛ばされた。

しかし、恋は空中で体制を立て直し、着地する。


だが、着地を見逃すまいと美玖も玲奈も攻撃態勢に入る。

それを見た恋は近くにあった柱に自分の鞭を巻き付け、美玖と玲奈の位置とは違う方に着地した。


「全っ然効かない!!」


玲奈は嘆いた。


「腕のタスキを取るだけなのに取る以前の問題だよ!」


美玖は自分が役に立てていないのを気にしていた。


「ごめん⋯、私が不甲斐ないばかりに」


玲奈はそんな美玖を見て目を見開いた。それと同時に美玖の両肩を掴み、必死に言った。


「ごめ⋯!そんなつもりじゃ⋯!美玖は悪くないよ!」


美玖は納得がいかない様子で言う。


「でも⋯私が⋯異能使えないから⋯足引っ張って⋯」


「大丈夫!何とかなる!ってか何とかなってる!」


玲奈は必死でフォローする。


「そう⋯かな」


「そうだよ!だから問題ない!」


玲奈は腕を伸ばし、指先から枝の触手を放つ。

すると視界の先にいる恋を掴み取った。


「あらぁ?」


「せい!!」


玲奈は恋を思い切り地面に打ち付けた。

地面が少しえぐれる。


「ふふ、いい動きになってきたじゃなぁい」


「効いてない!?」


恋はピンピンしてた。


しかし⋯、


「!!」


「へへん!どう?自分が負ける気持ちは」


玲奈の右手には恋の左腕に付いていたタスキがあった。


「やるじゃなぁい。でも、まだ甘いわよ!」


恋は思い切り鞭を振る。玲奈は素早くそれをかわした。すると、真正面から石が飛んでくる。

玲奈は咄嗟の事に精一杯で回避する。

しかし、恋が飛んで近づいてくる。


間に合わない⋯!


玲奈は両手を顔の前に出し目をつぶる。

しかし、気配が後ろに下がっていくような気がした。


玲奈は目を開けて恋を見る。

自分から離れている。

しかし、よく見ると恋は左手に何かを持っていた。


「!!⋯美玖!」


美玖は恋に捕らえられ縛られていたのだ。


「いつの間に⋯!?」


「まず1人⋯ねぇ」


美玖はガチガチに縛られて身動きが取れなくなっていた。故に動いても解けない。


「ふふ⋯、抱えながら戦うのは少し大変だしぃ、お暇しちゃいましょうかしら」


「⋯え?」


「それじゃあ一生懸命追いかけてねぇ?」


恋は素早く去っていった。⋯美玖を連れて。


「くっ⋯!」


玲奈は1人その場で嘆くのだった。



どこへ行くんだろう⋯?


恋に連れられた美玖は掴まれたまま考えていた。すると、突然恋の動きが止まる。


「⋯ここで大人しく待っていてちょうだいね?絶対よ?」


すると、美玖はその場に置かれる。


「すぐにお友達も連れてくるわ。楽しみに待っていてね?」


そう言うと恋はすぐにその場を去っていった。


「ここ⋯どこ?」


そこは地下のような場所だった。


美玖を含め、クラスメイトは全員このエリアの仕組みや地形を知らない。

この事も戦士たちにとっては有利だった。


美玖は辺りを見回す。


そこは何も無く、薄暗い。


「私⋯また⋯」


美玖は自分を責め始めた。


不甲斐ない自分を。弱い自分を。守れない自分を。助けられない自分を。誰かと一緒にいることも出来ない自分を。


そんな様々な考えが美玖の中によぎり、美玖は自分が嫌になった。


「せっかく玲奈が守ってくれたのに⋯!助けてくれたのに⋯!タスキだって取って⋯!なのに私は⋯!」


何も出来ない。


その事実が只、美玖を追い込み続けるのだった。

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