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妖精として生きるつもりです。  作者: 納豆しらす
第二章 『繋ぎ合わせるべき欠片』
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第二十二話 『いきなりかよ⋯』

「さあ、見せてみよ。少年共」


「いきなりかよ⋯」


いくらなんでも開戦が早すぎる。

前代未聞だろ。

開始10秒弱で開戦とか。


「ふん!」


そんな事を考えているうちに史郎さんが攻撃をしてくる。

地面が少し凹んだ。


いや、待て。素手でコンクリ凹むて。

十剣って皆こんななの?


「ぅおっ!」


攻撃がいきなり来た。

どうやら考えている時間は無さそうだ。


一度距離を置くか⋯。


俺は大きく飛び、後ろに下がる。


天哉は何を考えているのか、その場から動いていない。


天哉の判断を待った方がいいだろうか⋯?


俺はとりあえず待つことにした。

なので、相手は全面俺が引き受けることになる。

手を抜いたら終わる、ので本気で行かせてもらう。


俺は右手に魔力を込める。

そこから武器を創り出す。


「武器生成」


俺はそう言い、刀を生み出す。


そして、史郎相手に振りかざす。


史郎は受身をとっていた。


「武器生成か⋯。それはまだ教えていなかったはずだがな⋯」


「そう⋯です⋯かっ!」


俺は2度目の攻撃を入れる。

手応えはない。


史郎は蹴りを加えてきた。

かなりの速度で。


正直な話をすると、避けるので手一杯になっている。

上手く反撃を入れられない。


「磨童!」


声が聞こえた。


天哉だ。


天哉が何かを投げた。

俺はいち早く察し、その場を離れる。


ボォン!


天哉は爆竹を投げたのだ。


いや、爆竹の威力じゃないが⋯


「一旦退くぞ!」


俺はそれに続き、その場を後にする。


「逃がさんぞ少年共」


史郎は平然としている。


「そこ!罠あるから気をつけろ!」


天哉が言う。


罠⋯?

そんなものあるようには見えなかったが⋯


嘘を可能な範囲で現実に起こす⋯か。


「可能な範囲」がどこまでか分からないが、もし今のような芸当が出来るなら相当な範囲のものが可能になるんじゃないか⋯?


とすると、今嘘で罠を作った⋯?


だとしたら、俺の予想通りだ。


大分イカれた異能ちからだな。


俺たちは出口に向かって全力で走っていた。


史郎は不敵に笑い言う。

「逃げるのは正解⋯だが簡単に逃げられると思うなよ?」


史郎は遠回りをする事にした。



雷堂達は未だに喧嘩中だった。


「だから!やり合った方が早いって言ってんだろ!勝てばいいんだから!」


「アホ!現役の戦士にお前が凸った所でボコボコにされるだけだわ!」


「だから!お前も行くんだろ?」


「勝手に行かせんな!」


原因はおそらく⋯いや、雷堂だろう。

光玄が雷堂が凸りに行こうとしてるのを阻止している。


光玄は言う。

「そもそもだ、相手の状況が何一つわかっていないのに行ってどうする?」


「だから、倒すんだよ!」


「返り討ちにあうだけだわボケ!」


「俺はボケじゃねぇ!」


「じゃあアホだ!」


「ありがとな!」


「は!?」


「え、アホって俺にしか使えない褒め言葉なんだろ?」


「⋯誰が言ってた?」


「え?磨童が」


そう。

磨童は雷堂にアホって言葉を悪口だと思わせないように「アホっていうのはお前にしか使えない、お前の事を全力で褒める言葉だ」と吹き込んでいた。


「本当にアホだな⋯」

光玄は小声でそう言う。


「いつまで茶番をしている気だ?」


「!!」


光玄と雷堂は同時に反応した。


そして、同時にそこにいた人物に敵意を向けた。


「おいおい、怖い目をやめてくれよ。普通に近づいただけじゃないか」


そこには成瀬 瞬の姿があった。


「少しは楽しませてくれ?子猫ちゃん達?」


光玄は鼻で笑う。

「ハッ、狩られるのはあんたの方だぜ?子犬さん?」


瞬が返す。

「なんとも野性的な猫ちゃんだこと」


雷堂は言う。

「俺は⋯猫じゃねぇ!」


雷堂だけ雰囲気がなかった。


すると、雷堂の頭上に攻撃が飛んでくる。

「!」


雷堂は素早くしゃがみ、かわす。


「ほう?今のを避けるか」


瞬の背後に大量の何かが見える。


雷堂はそれを見て驚いた。

「なんだ⋯あれ?⋯鏡?」


「俺の異能は”反射”。鏡に映ったものを反射させる事が出来る。受けきってみよ才能の卵共」


すると、光玄の元に魔力の斬撃のようなものが飛んでくる。


光玄には疑問が湧いた。


今の⋯鏡には映ってなかったはず⋯。


そんな光玄の考えに気づいたのか瞬が言う。


「おっと、反射させられるのが鏡に映ったものだけとは言ってないぞ?」


光玄は理解した。


なるほど⋯壁の反射もか。

しかし⋯、反射する向きを選べる訳ではないな。

反射を予測して攻撃をしている⋯か。

⋯これは厄介だな。


雷堂はまだ理解出来ていなかった。

「つまり、どういう事だ?攻撃を反射させられるんだろ?なんで反射したのがこっちに飛んでくるんだ?」


光玄は溜息をつきながら言う。

「アホ」


相変わらず雰囲気は出なかった。



磨童と天哉は史郎の元を離れ、出口を目指していた。


しかし、先程から同じ景色ばかりを見ていた。


天哉が聞く。

「なぁ、道ってこっちで合ってるか?」


磨童が答える。

「ああ、合ってるはずだ」


天哉は半ギレで言う。

「はずってなんだよはずって!」


天哉は最初の道で電柱に付いている落書きのような赤い印を見ていた。


そして、今走っている場所でそれと全く同じ印を見た。


天哉は言う。

「いや、迷ってんじゃねぇか!」


磨童は答える。

「いや、迷ってない。多分あってるはずだ」


「さっきも聞いたわそれ!最初に通った道と一緒なんだよ!ここ!」


天哉は後悔する。

「こいつ、眼がいいから出口がどこかわかってるくせに方向音痴すぎて辿り着かねぇ⋯。こいつに道案内させたのが間違いだ」


「多分こっちだ」


「一旦止まれ!」


「なんだ?立ち止まっている間に追いつかれるぞ」


現に追いついてきている。史郎さんの魔力が近寄ってくる。


「お前、出口はどっちにある?」


「南の方向だ」


「なんで南にあるのにお前は真逆の北に向かってんだよ!」


「こっちが南じゃないのか?」


「違うわ!!」


天哉は呆れた声で言う。

「もういい、俺が先に行く。俺についてこい」


「ついてこれればの話だな」


「何?」


天哉は上を見る。


「逃がさんと言っただろう?」


「早すぎんだろ⋯」


「速度には自信があるのでね?これでも十剣なんだ。大目に見てくれ」


「大目に見るとかそういう立ち位置じゃねんだわ⋯」

磨童と天哉は改めて対峙した。

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