第2話 私と私と俺の道
今、俺事山内圭介19歳は・・・なんだっけ、あぁ、たしかハウゼ?の町の宿屋の一室に居る。
俺がなんか美人さんと兄ちゃんに出会った所・・・遺跡っていってたっけ?は俺と美人さん達の話が終わる前に突然の地震によって崩れ落ちてしまった。
なんとか埋まる前に美人さんが引っ張ってくれたおかげでかすり傷一つ追わずに無事だった俺。
ちきゅう知らない発言によって完全に石とかしていた俺を、これまた美人さんが背負って宿屋まで連れてってくれた。
そして、俺は今とっても凍り付いた空間にいる。
「・・・とりあえず、名前を聞いても良いでしょうか。」
そう美人さんが切り出してくる。
凍り付いた空間は、まぁ変わらないけど会話があるって素晴らしいよね!
今俺は椅子に座っていて、目の前に美人さん。なんかしらんが兄ちゃんは窓の側で優雅になんかを飲んでいる。
「山内圭介です。」
名前を答える。
・・・なんとなく面接みたいな感じがする。緊張感はそれの比じゃないけど。
「確かこの国のことも町の名も何一つ知らん阿呆を通り越した天才的阿呆であったな。」
窓際の兄ちゃんが答える。やっぱり酷い物言いだ。この兄ちゃん上からもの言う以外の言い方が出来ないんだろうか。間違いなく世の中で渡って行けないな。ざまあみろ!(何に?)
そんな俺を見つめる美人さん。何となく頭が痛いっていってるどっかの上司みたいな顔をしてるなぁ。もちろん情報源はドラマだ。
「・・・とりあえずヤマウチ殿で良いのでしょうか。」
「あ、えっと。まぁはい。」
美人さんからそう言われた。
美人さんは金髪だったから外人みたいに名前を呼ばれるかと思ったけど名字呼びか。
名前と名字を区別出来てるんだから多分俺みたいな日本名がこの世界にもあるんだろう。ちょっと安心だ。
この時点で既に俺に「ここってどこのテーマパークかな?」なんて考えは無い。この町も宿屋もそんなしろものじゃ無かったしな・・・。
「私の名はメリカナ=エジットです。こちらが・・・」
「アイゼルだ。私の名を呼べる事を光栄に思え。」
「・・・ありがとうございます?」
なんかわからんけどやっぱり偉そうな人だ。なんか命令口調でもなくそう思う事が決定されてるらしい口調に怒りを通り越してなんにも思わない、すげぇ。
「・・・あなたはこの国の・・・いえ、ここの住民ではありませんね?」
「はい。世界の住人じゃありません。」
即答だ。言われなくてもよく身にしみました。
何かニュアンスが違う気がするのは気のせいだろう。多分。
「あの。」
「なんでしょうか?」
「俺、これからどうなるんですか?」
なんか俺は重要っぽい遺跡にいたみたいだし。そこから出て来たみたいだし。向こうもここの人じゃ無いって思ってるみたいだし・・・。
向こうからみた俺ってどうなんだろう。遺跡にいた、なんかこの世界の人っぽくない・・・駄目だ。不審者どころの騒ぎじゃない。むしろ別の世界の人だと向こうが信じてくれたのが奇跡だ。(勘違いです)
きっと扱いもアレなんだろう。なんか向こうも困った顔してるし。いや、勇者とかって言って祭り上げられるよりましなんだけどね。
「ふむ、メリカナ。」
「?なんだ。」
隣の兄ちゃん、アイゼルさんが美人さん、メリカナさんに話しかけた。
「何故貴殿はケイスケに向かって敬語を使うのだ。まず私に使うべきだろう。」
「この喋り方はあなたを信頼してこその事・・・なのだ。(多分)敬語の方が宜しいのか?」
「宜しい。」
「ならば敬語に変えましょう。(つっこまないから気にしないたちなのかと思っていたが。)」
「それともう一つ。」
兄ちゃんの質問内容に思わず力が抜けた。が、どうやら質問はもう一つあるらしい。頑張れ、俺の緊張感。
「ケイスケ。貴殿に問いたいのだが。」
「・・・なんでしょうか。」
そう返すと、兄ちゃんは懐から何かを取り出した。
「貴殿、これを使えるだろう?」
取り出した物は。
「・・・ライター?」
百均のライターだった。