表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Lei-VERT!  作者: 弐式
39/47

第29話 回る歯車の潤滑油

「たっち。たっち。ここにタッチ!あなたから〜♪」



一人、ご機嫌に市場を歩む青年が一人。

知る人が聞けばわかる歌も、知らぬ物が聞けば一つの芸として受け居られるもので。

周りの人々は初めて聞くメロディに振り向き、感嘆の意を告げるのだった。

・・・それ以外にも、なにかあるような・・・?



「ご機嫌だねぇ坊や。」

「や、どうもお姉さん。ちょっと今日は良い事あったんすよ。」

「そのようだね。良い事ってのはその足下の・・・金属の事かい?」



足下。金属。

青年の足下には身長:青年のひざあたりの金属の固まりがあった。

しかも金属の固まり。動く。術によって動いているのだろうか。そのぎこちない動きにみている方が不思議とハラハラしてしまう。

話しかけて来た女性へと、青年はやはりご機嫌に声を返す。



「そうなんすよ、わかります?コレは俺がつくっ・・・いや、見っけたやつなんすよ。なんでも【術】を動力に動いてるらしいっす。俺の言う事とか理解して動くんですよ。」

「へぇー・・・。」



女性はじっとその金属をみた。・・・丸くしたかったのだろう。そのボディにはところどころ凸凹があって何故か女性に手作りの木箱を彷彿とさせた。

ころころと転がるその姿は、なんだか———



「可愛いでしょう!!」



自信満々に、胸を張ってそう言った青年—ケイスケに、女性は賛同しつつも。堅そうだな。と感触を思い両手をひざの上に戻したのだった。




















——とある昼間の事であった。

俺は自分の部屋でうんうんとうなっていた。理由は単純。前回の話を読んだ人にはわかるだろう。メメタァ!とか、今更言ってはいけない!

俺が一生懸命愛情込めて製作していたあの機械の事だ。あの後別の日に桔梗さんについていってもらって、部品はそろえたんだ。そろえたんだよ。

そろえたのは良いんだけども。アレだ。



「さっぱり、構造がわかりまへん。」



やっぱりね、どう考えても動力源何処なのかわからないんすよ。回路はひたすら渦描いてるし。なんなんだこの設計図。

設計図があっても理解出来ないならそれはブラックボックスです。わけわからん。


ひたすらうなる俺。図面を逆さまにする。

・・・・・ん?コレ前にアイゼルに見せてもらった術に似てないか?確か字だと・・・【cd】《カンデラ》とかいう・・・

光明が差した。そう思った俺は急いでリビングに居るアイゼルの元へむかったのだった。

こう言う時は都合良く家に居るんだよなー・・・。



「ふむ、それで私の所に着たのか。」



偉そうな格好で椅子に座るアイゼル。いつも通りです。デフォルトです。

アイゼルに軽く設計図についての説明をする俺。あ、謎のフードさんの話は無しで。とりあえずアイゼルには「路地裏に迷い込んだ」と言ったら鼻で笑われて経過についてはスルーされた。楽で良いけど。なんかむかつく。

テーブルの上に設計図を広げる。広げるとアイゼルは怪訝そうな顔をした。顔がしかめってまっせ。



「どうしたんすか?」



気になったんで聞いてみる。



「・・・・・・・・・・」



長考だなぁ。あ、長い事考えてるって意味で・・・。まんまか。


あんまりにも長いのでちょっと不安になる。なんかまずいもんだったんだろうかコレ。呪いでも掛かってるとか!?俺からしたらただの機械の設計図なんだけども、いや、機械って結構不味いか。


不安になりながらアイゼルの次の言葉を待つ。どうか機械って所につっこまないでくれ。話をしてもスルーだったから良いのかと思ったんだよ!やっぱ機械って作っちゃ駄目なんすか!!や、そうだろうけど!!

【危険性の無い機械】そうアイゼルに説明したのだが、アイゼルから見ればコレは危険性のある【先人の兵器】なんだろうか。ただのお世話ロボットっぽいんだけどなぁ。


そこまで考えて、ようやっとアイゼルが口を開いた。



「・・・読めん。」



あ、そういえばコレ英語とかドイツ語があるんだっけ。というかなんというか。



「・・・読み方。教えてあげましょうか?」



勝ち誇った笑みでそう言った俺は、悪くないハズ。

一つ頭に出来た大きなこぶをさすりながら、俺はアイゼルに設計図についての説明をしていくのだった。







しばらくしてから説明が終わった。どうやら新しい言語というのはこの世界の人々には理解しにくいらしい。というか、ぜんぜん理解してなかった。この世界にも別の言語あったと思うんだけどなー。

とりあえずまだ勝ち誇った笑みを続ける俺。頭のこぶが二つ三つ増えてるのには目をつぶる。

多分アイゼルが新しいもの好きじゃなかったらこぶはもう四つ五つ増えてるだろうな。とか、思いつつ。アイゼルの言葉を待つ。



「・・・貴殿の言う通り、どうやら此れは術を用いたものらしい。」



設計図をテーブルへと置き、こっちを向いてアイゼルはそう言った。やっぱり俺の思った通りらしい。



「術っすか・・・。でも【先人】に術は・・・。」

「使えないな。ふむ、思ったより面白い文献らしいな。」


興味ありげに設計図を見つめるアイゼル。と反対に俺はちょっと不味い事したかなと思い始めていた。

・・・だってさ。術+機械だぜ?魔科学とか、死亡フラグびんびんな気がするのは俺だけでしょうか。ダ、◯オスさんにフルボッコされそうな気がする・・・!!!


そんな事を考えながら、同じように設計図を見つめる俺。

アイゼルは設計図で術をどうやって使えばいいのか考えてるんだろう。俺は設計図に兵器とかないよねと思いながら見つめる。無い。多分無い。無いったら、無いに違い無い。


しばらく兵器とかないよねという粗探しをしていると、目安がついたらしいアイゼルが俺に声をかけて来た。



「ふむ、ケイスケ。貴殿ここにのっている装置は作ったのか?」

「へ?・・あぁ、作りましたよ。これっす。」



アイゼルが指差した装置を取り出す。例の動力炉とAIだ。

その他外形とか含めて全部手作り。勿論これも手作り。一番大変だったのは導線を探しだす事だったな。まったくどれだけの骨董品店を渡り歩いた事か。おかげでここらの骨董品店の場所を覚えてしまった。


思い出に浸ってるうちにアイゼルは黙々と作業を進めていった。・・・ちょっとくらいは聞いて欲しいと思うのは話の内容が苦労した事だからだろうか。苦労した事ってなんか聞いて欲しくなるんだよな。頑張ってねと言って欲しいというか。・・・アイゼルに何求めてるんだろうか、俺。


しばらくいじった後、導線が円状に繋がってる装置の真ん中にアイゼルはなんか良くわからん水晶みたいなのを取り付けた。


・・・どっかでみた事がある。確か照明とかについてなかったけコレ。


同じようにもう一つの装置にも水晶みたいなんをつけて、アイゼルは何故か俺に突き出して来た。どうしろと。



「此れを組み込めるのは貴殿だけであろう。」



不機嫌そうに返されました。いやまったく。アイゼルには出来ないもんな!




もちろんのごとく増えた頭のこぶをさすりながら装置を組み込む俺。まったく手元が狂ったらどうしてくれるんだ。配線関連は微妙な作業で難しいんだぞ!

言葉に出してないのにどうして思ってる事が伝わるんだろうか。以心伝心とか、いやだぞ。便利だけどアイゼルとって所が嫌だ。



「ここが、こっちで・・・。よし、出来ましたよ。それでどうするんっすか?」

「静かにせんか。どうせ説明した所で貴殿には理解できんよ。」

「・・・・。」



ギギ・・・



ハッとして機械のほうへと顔を向ける。また増えた頭のこぶを気にしている暇無く、機械は少しずつギアをまわし起動を始めた。

間接部が少しずつ動き出す。ギギギギギ・・・と不快な音を立てているのは間接部やギアの金属部が当たってるからで・・・





・・・・って?アレ?





「っちょ、ちょっと待ったぁ!!!」

「!?なんだ、なにかもんだいでもあるのか?」



突然の大声にびっくりするアイゼル。あ、珍しい顔おもしれー・・・っじゃなくてだ!!


俺はアイゼルに止めるように言った。何でかって?このまま動き出すとちょっと問題があるからだ。何故なら・・・










「まだ間接部に潤滑油(オイル)塗ってないからまだ動かしちゃらめぇぇぇえええ!!!!!」











「ギギ。」









・・・ピタ。っと機械が動くのを止めた。

まるで・・・俺の声に反応したかの用に行動を止めた機械。まさかの事態に固まる俺とアイゼル。



「・・・俺の言葉に、反応、したんすか、ねー?」

「・・・おそらく。おそらく。」



動揺するアイゼル。俺も同様に動揺する・・・ってダジャレ言ってる場合じゃなくて!!






しばらく固まったこの空気を壊すのは、またまたまさかの機械だった。

ギギ?と頭を(雪だるまみたいな形してるのに器用に)傾けてこちらに意見を求めるかのようなしぐさにちょっと心が和んだり、だり。

思ったより固まってた時間が長かったらしく。買い物に行ったアリアさんと桔梗さんが帰って来てしまって、説明に困ったり。

そうこうしてる間にメリカナさんが帰って来ちゃって説明にあたふたしたりするのはもうちょっと後の話。




















「・・・お手伝い用の機械?」

「そうっす!そうなんです!危険性はまったくないんです!!名前はポコなんですぅ!!!しかもこんなに可愛いんですぅう!!!!」

「ギギ?(首かしげ)」

「・・・むぅ。(頭をなでている)」

「・・・和むわ。」

「ポコ、そこの赤い背表紙の本。(問答無用で持ってこいと伝わる語調)」


「・・・・・。」



あー、こんな風景前もみたなー。(Q.何処で?A.桔梗丸登場回で)

頭を抱えるメリカナさんにポコが紅茶を持って行ったらOKが出ました。何か吹っ切れたメリカナさんの顔を見ると、不思議とマグ兄弟の逃走劇が頭をよぎりました。不思議だな、と俺は思いました。

うむ、久々に書くとスランプ感が否めないね!と思う作者です。

潤滑油はね、大事だよ。自転車も潤滑油とかちゃんとしないとペダルを踏んでも錆びて引っかかってチェーンが回らなくなります。バイクだとおそらく死にます。整備って大事!


新しく登場。機械のポコです。ひざたけ程度。雪だるま体系。ドラ◯もんではありませんのであしからず。

タイトルはつながりで歯車。もうひとつの歯車はそのうち伏線として見える物語の歯車。作者が伏線を回収出来るのかは謎ですけどね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ