表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Lei-VERT!  作者: 弐式
28/47

外伝 【夢見ることり】—瞳—

*この話は外伝です。本編をお求めの方はすっ飛ばしても可。

ザッザッザッザッザ・・・




———あそこだ!——追え!!

——この悪魔!!人殺し!!!!










ザッザッザッザッザッザッザ・・・









——何処行った!?———あっちだ!!!

———逃がすな!!追う者は奴の【目】を見るなよ!!!






——見れば———その後には———
















暗い闇の【死】がー待———————




















ふと、彼は目覚めた。

辺りは暗く、見えるのはじめじめした用水路の壁のみ

とうやら彼は中へと落ちたらしい。

体の至る所、特に背中が痛いのは用水路へ落ちたときに強く打ったためだろう。


腕が落ちたか?久しぶりの【運動】とはいえこんな奴らに遅れをとると思わなかった。


立ち上がり、用水路から這い出る。

地上には地面に横たわる男達がいる。死んではいない。ただ彼の【目】によって気絶しただけだ。【目】の使い様によっては、【見た】だけで殺す事も出来たのだが。

彼は【目】を押さえる。久しぶりの使用に少し熱を持っているような気がした。勿論、魔力による使用に熱など持つわけは無いのだが。


地面—路地裏の細い通りに立つ彼は辺りを見渡し状況を確認する。つい先程追いかけていた人物の後ろ姿はもう確認出来なかった。見失った。

そう聡と即座に路地裏の奥に向かって、彼は走り出した。路地裏の出口に向かったのならまだ良い。だが奥に向かったのならば。彼はそう考えて路地裏の奥へと走り出した。


彼がこの路地裏に来たのはそんなに大した用事ではなかった。帰郷のようなもので。育った場所に戻りたいと思うのは人それぞれ皆同じだろう。

生まれた故郷に戻れないのなら、それこそ。


良い思い出も悪い思い出もある故郷を彼は走り抜けていく。

男達を払いのける際、用水路に落ちる。等と馬鹿らしい事をやってしまったのはおそらく、あそこが【あの場所】に似ていて、知らずに動揺したからであろう。


狭い道。近くを流れる水の音。そして、全てが閉ざされたような薄暗い世界。



ギリ



知らず彼は奥歯を噛み締めた。

懐かしき思い出に振り返っている場合ではない。彼には探し人が居るのだ。

日の当たる場所へと連れ出してくれた彼の残した【宝】を、彼は守るため、ここに居るのだから。




















しばらく奥へ走った後。彼の耳に話し声が聞こえて来た。

知った声。知らない声。

知った声は探し人の者で。知らない声は男性の声だった。やはり探し人は奥へと進んでいってしまったらしい。まったく。困った奴だ。

思ったより元気そうな声に、彼は微笑を浮かべる。が、安心するのは早過ぎる。彼の顔はすぐに険しくなった。

探し人は一人ではない。声でそう確信した彼は腰にさげた剣をそのままにゆっくりと声の方へと近づいていった。

寝起きの悪さか、夢の悪さか。容赦の無いその瞳は暗闇の中でも煌々と輝いている。



少し歩んだ先。薄暗い中で彼は二人の人物を確認した。

一人は探し人。一人は知らない顔。路地裏に詳しい彼が知らないという事は路地裏に着て間もないか。



ゆっくりと二人へと彼は進んでいく。知らない顔が彼のほうを向いた。気付いたらしい。

知らない顔は探し人を背後に彼へと立ち向かうような構えをとった。やり合おうというのだろうか。

残念ながら、今の彼は機嫌が悪い。



立ち向かうのならと、【目】を行使すべく長い前髪に手をのばす——




















ふと、彼は今見る情景に既視感を感じた。



小さな少女をかばうようにして立つ青年。




コレは何処でみたんだったか。もっと昔。今よりもっと昔の話だ。

確か兄妹が居て。兄が妹を守ろうとしていたはずだ。




———****!!!




何から?




———****!!!!!!




そうだ。




−————人殺しッ!!!!




【見る】だけで人を殺せる。俺の【視界】から———




















「・・・・大丈夫っすか?」

「うべ?」

「ちゃんと案内してよね!私達じゃ道わかんないんだから。」



大丈夫大丈夫。そう言う彼は苦笑いしながら彼等を路地裏の出口へと案内を続ける。

青年は彼の探し人である少女を保護してくれていたのだ。彼は自分の早合点を詫び、時間の許す限りでの案内を受け入れたのだった。

先程のような緊張感は完全に薄れている。

なんとも言い難い理由で路地裏に迷い込んだ青年の話を聞いたからだろうか。いつもなら知らぬ人物に殺気を送る彼だが、今は和やかに会話している。

何故だろうか。つたない異国語—この国の言葉—を聞き取りにくいだろうにきちんと理解し、返事を返す青年に彼は好感を抱いたのだろうか。


彼の脳裏に、いつかの兄妹が思い起こされた。

目の前で会話の花を咲かせる探し人と青年は、かつれ彼の【目】で【見た】兄妹を思い出させる。


あの頃の自分が【目】を制御出来ていたなら。あの兄妹は笑ってくれたのだろうか。


軽く首を振る。過ぎた事を気にしても仕様が無い。

突然首を振った彼を不信に思って、いや、心配そうに探し人と青年が声をかける。


大丈夫。大丈夫。今の彼ならば守りたいモノを守れる【目】がある。


彼は探し人と青年に【目】をあわせ、そして路地裏の出口へと向いた。



「えっと、俺が言うのもなんですが大丈夫ですか?」

「そうだよー疲れたらお休みしないと駄目だよバシエルくん!」


「大丈夫だ!それより、じゃんとついてごいよ!」



ちゃんと、俺が守れるように。

バシエルの裏話ですね。設定の所で属性が中*なのは【目】の設定がどう考えても邪気眼だから。

バシエルの訛りっぽいしゃべりは元々別の国の人であまりアセレスティア語がうまくないから。という設定を話の中に盛り込めなかったので今更説明。むなしい。

本来はアルガレータの話も盛り込んで、彼女のお父ちゃんの話もいれるはずだったんだ!のに入れれてないという。

よく本編でもこんなことになります。プロット作ってもね。その通りにならないという。うん、むなしい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ