第3話 私と私と俺の道2
「ふむ、名を知っているのか。ならば間違いはあるまい。」
兄ちゃんが何か言っている。俺はなにか驚かれるような事を言ったらしい。俺はそれよりもこの世界に俺の知ってる物がある方が驚きだ。
ライターを手に取って火をつけてみる。
「・・・ライターがどうかしたんですか?」
「ライターが問題なのではありません。その程度の火は障害にも何にもなりません、それより・・・」
メリカナさんが、俺の目をじっと見た。
「名前、使用法を知っているのが問題なのです。時間を越えてこられた【先人】よ。」
ふむ、面白い程に時間が止まっている。
私の発言により目の前の小僧が先人が生きた時代よりやって来た者だと言う事が発覚した。
メリカナの表情は思ったよりも面白い事になっている。当たり前か、世界の中心である私もまさかなと思っていた。
メリカナが小僧、ケイスケに事の重大さを知らせている。
先代の兵器、ロストテクノロジーの恐ろしさを。
それが見つかったのは今から3000年以上前の事だ。
当初、それを発見した人々は喜んだ。未知の技術で造られたそれは一切文献に残っていない【空白の過去】を探る上で重要な物だったからだ。そしてそれは同時に彼等の生活を便利にする物であった。
しかし、過ぎた技術は戦争を生む。
当時あった王国クレウィント・リ・アースはこの技術に目を付け大量の兵器を製造し始めた。
他の諸国が止める中どんどん軍事国家として栄えた王国はその後戦争を仕掛ける事となる。
しかしこの世界にも先人の兵器に拮抗できる術があった。魔術だ———。
人々は魔術を使い王国の暴走を止めようとした。また王国も先人の兵器を完璧に再現、使用には至らずにいた為、辛くもこの戦争は王国の負けとなった。
そして、王国は過ぎた技術を暴走させ壊滅に至った。
他諸国はこの事件の後、世界中全ての遺跡を国所有の物とし発掘を禁じた。
これは一般人に過ぎたる力を持たせないためであり。他の国に自身はロストテクノロジーを持っていると主張する為であった。
先人の兵器を完璧に再現、使用出来ていたなら王国は負けなかったであろう。
そして今、それを可能にするかもしれない者が私の目の前にいると言う事か。
ふむ、面白い。この女子について来て正解であったな。
完全に縮こまってしまった小僧を眺め、私は口元に笑みを作る。
メリカナが本編始まってからずっと敬語なのはケイスケと初対面だからです。アイゼルに対してアレなのは、彼の性格がアレだから。今更な説明だなぁ。
ちょっとアイゼルの性格が柔らかすぎるような気がしますが、彼は興味を持った奴に対しては寛大(彼談)なのでそんなものなんでしょう。
さて、なんか大変なこっちゃになった圭介はこの後どうするんでしょうか。
たまにケイスケをケイイチと打ちそうになります。どうでも良い事ですね。