表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

人権確立後の階級社会の存在について

作者: 十司新奈

『1984』の「例の本」みたいに、世界観を作っている理論が載った論文、という体で論文風に文章を書いてみました。ぶっちゃけ実際の科学論文の様式からはかなり遠いですけど、雰囲気だけ。今後こんな感じの世界観の作品を書くときに作中作として出てくるかもです。



 著者●◆.J.▲■


 Abstract 要約


 人類の平等やその普遍的な権利について最初に論じられたのは、論者によるもののフランス革命やアメリカ独立戦争などの時期に遡り、今まで様々な視点から議論がなされ、また未だに議論が存在する。

 この論文では古来から議論が行われていない、あるいは意図的に議論が無視されてきた、根本的な「人類の平等」、「人権」とおよそ相反するであろう「階級社会」が人権思想と不可分の関係にあることをマルサス主義的観点から論ずる。




 Introduce 導入


 我々が着目したのは、人権思想の発達後未だに解消されない階級社会の存在である。人権思想やそれを反映した憲法や法制度の是非について、我が国の10~60代の男女1000人にオンライン上でのアンケート調査を、「良い」「やや良い」「やや良くない」「良くない」「分からない」の五段階で調査を行ったところ、「良い」「やや良い」が実に97%を占め、「分からない」「良くない」「やや良くない」などは殆ど存在しなかった。

 また階級社会の存在の是非についての調査を行ったところ、「良くない」「やや良くない」が過半数の89%を占めた。

 「良くない」「やや良くない」と答えた回答者に解決方法を答えて貰ったところ「税率の改正による下層階級への補助拡充」に相当する回答が80%以上を占め、続いて「分からない/解決不能」「革命による配給制」が挙げられた。




 Discussion 議論


 ここからはマルサス的視点から、階級社会と人権思想の不可分を論ずる。

 マルサスの人口論では「人間の数は等比級数で増加するが、食料は等差級数でしか増加しない」という原則が前提として挙げられる。

 ネズミ算式に増える生物の数と、毎年一定量しか取れない食料の供給量のバランスが崩れた時、溢れた人口を調整するために「悪徳」として間引き、戦争、飢餓などが発生し、食料供給に釣り合うまで人口は減少するという。

 この「悪徳」は人口増加の積極的妨げとも呼ばれる、現代の人権思想とは相いれない事件である。現代ではこの「悪徳」が先進国では起こらないことなどから、人類はマルサスの罠を脱したとされることもあるが、前述の通り「悪徳」は人口増加と食料供給のバランスが崩れることで発生し、我が国の場合人口は減少を続けているためこの「悪徳」が発生しないと考えられる。

 

では人口減少の原因は何だろうか。

 この原因は複合的なものであると考えられるが、子を持ちたい親に子を持てるだけの経済的余裕がないことが大きな原因であると考えられる。これはマルサスの論文でも触れられているが、人口増加の消極的妨げに当たる「子を持つことで下層階級の暮らしに落ちてしまう事を危惧して子作りを控える」現象である。

 ここで「下層階級への補助拡充」を行って、金銭的余裕のない家庭でも子供を持てるようになった際のシミュレーションを行ってみると、我が国の経済成長を超える人口の急速な増加、それに伴う「悪徳」が予想される。つまり〝階級社会の解体を試みると、かえって人権的危機を引き起こす〟のである。




 Conclusion 結論


 今回の研究において我々は、かつては生来の身分の差を廃するために生まれた人権思想の誕生によって階級社会が恒久的なものとなったことを指摘した。今後、階級社会の解体を試みた過去の事例についてもマルサス的視点から議論を行い、その際に如何に人権が踏みにじられてきたかを調査する方針である。




 References 参考文献


『人口論』T.R.マルサス

『人権思想の芽生え』 M.K.ウルトラ

『階級制度の始まりと現代』 F.K.フェイクス



かなり久しぶりの執筆となりました。大体察しがつくかもしれませんがそういう事情で忙しかったんです。無事終わりました。あんまりもう長編の更新は考えていません。次は短編が出るかもです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ