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プロローグ

『異世界転移』という言葉を知っているだろうか。

　あなたが俗に言う異世界系に馴染みがあれば、以下のような場面で見たことがあるかもしれない。

　ある時はコンビニへと買い物に出た高校生が、またある時は仕事帰りのサラリーマンが、はたまたある時は、電車に轢かれそうになった他人を庇った自分が。

　そんな彼らが命を失いかけた際に奇跡のような力で異世界へと転移する瞬間を。

　不運な彼らは死にかける。しかし、その瞬間に何らかの理由で異世界に飛ばされるのだ。

　ここでは『異世界転移』をこう説明させてもらおう。

　これは完全に余談だが、不運な彼らが悲しくも命を失い、またも何らかの理由で異世界において再び命を得た場合、それは『異世界転生』と呼ぶ。

　今から始まるのは、そんな転移も転生もできなかった者、異世界に行けず、残された者、そして『異世界転移』を経験した者たちの物語だ。